マネジメント対談

中国古典と軍事理論に学ぶ経営組織学 守屋淳氏×田中靖浩氏 トークショー

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守屋 業績が悪くなった会社が計画に頼るのは、どうしてでしょう。

田中 計画を作ることで未来を支配した気になれるからではないでしょうか。子供のころに、夏休みが始まって、すぐに計画を作って、宿題終えた気になった子っていますよね。これと同じでしょう。

守屋 では、その業績が悪くなった企業が計画を作るときの計画っていうのは、合理的な根拠があるわけじゃなくて、ある種、社長がこうなってほしいというのを推測して作っちゃうということですか? 

田中 そうですね。社長の願望ですね。経営企画部門では、社長の言う通りに作らなければならないですね。 「社長、足りないみたいなんだけど、どうしましょうか」と泣きついても、「何言ってんだ、頑張れ」と言われ、予算を立てています。しかも、社長は漠然と「ドカンと儲けろ」と指示するだけです。この後、「ドカン」とはどのくらいかを経営企画が翻訳し、数値化するのです。社長が現実的で数字に強い会社であれば、おかしなことにはならないのですが。

OODAはモチベーションが出しにくい?

守屋 PDCAとか、計画を立てるということの問題点については理解しましたが、良い面もあるのではないでしょうか。現場がカラ元気を出しやすいとか。前年から売り上げを3%アップしろ言われれば、頑張っちゃうじゃないですか。頑張ると本当に売り上げが上がって予算を達成すると、嬉しくなるじゃないですか。根拠はないけど、モチベーションが上がるのは確かだと思います。一方、OODAの場合は目標が示しにくいのでモチベーション出しにくくなりませんか。

田中 そうですね、出しにくくりますね。さて、ここで、私の韓非子についての感想をお話しますね。正直、韓非子を読んでいてつらくなりました。もちろん、守屋さんのせいではありませんよ。性悪説じゃなくて性善説でもなく 性弱説。人間は弱いものだっていうことを突きつけられたようで、ちょっと苦しい読後感でした。孫子を読んだときの爽快感が、今回はない。だから、自分は組織が苦手なんだと思いましたもの。

 あまり遠くに目標設定するより、短期的、例えば「今月の目標はこれです」としたほうが絶対成果が出ると思うんですね。目先に届くものを目標として設定し続けるというのは、組織の中で、皆を1つの方向に向けるモチベーションになります。ただ、間接部門と営業部門で目標設定のやりやすさが違いますし、儲かっている部門とそうでない部門の間で不公平が出てくるかもしれません。そうすると、モチベーションの管理が難しい。OODAでモチベーションを上げるというのは、難しいですね。

 私は今執筆をメインに仕事をしていますが、やっぱり締め切りを催促してくる人がいるんですよ。「先生、原稿はいかがでしょうか」って。

守屋 それ、普通ですから(笑)。

田中 ま、普通なんですけど、1回、試しに出版社と一切話をしないで執筆するというのをやったんですよ。最初は楽しい毎日でした。だって催促されないんですから。でも、半年を超えたころからなんかつらくなってきたんですよね。そして、気がつきました。やっぱり人間は何も目標がないと無理なんだって。大事ですよ。目標は。

 経営において、OODA的に何もかも行き当たりばったりというのは無理だけど、ある程度の大枠としての目標設定はあってよいと思います。接客でも標準的なものはあるとして、あとは自由にするのがよいと思います。自分の経験からすると、本当の自由ってつらいですから。

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