マネジメント対談

中国古典と軍事理論に学ぶ経営組織学 守屋淳氏×田中靖浩氏 トークショー

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 日本の会社では、PDCAを「きちっとした計画にもとづいてやる経営のこと」と定義して、活用していますが、PDCAではない概念やモデルは見当たりませんでした。これは、日本の教育にも見て取れます。実は、うちの子どもが、夏休みの宿題に関して怒られてしまいました。先生は「計画的に、1日に少しづつやりなさい」と指導しているのに、すぐに仕上げてしまったからです。「細かく分けて、進捗守りなさい」とは、月次予算と同じ発想です。そんなガチガチのPDCA発想に対して、何か反論できるものがないかと思っていたところへ、守屋さんのヒントが実を結びました。

世の中は計画通りに進めないOODA的なやり方もあってよい

 臨機応変重視のOODAは予算に限らず、1つの新たな価値観を提供してくれたと思っています。それは、「世の中は計画通り進める」だけではなく、ほかのやり方もあるんですよという価値観です。いろいろな感想をもらいましたが、賛同してくださる方は多いです。知人の女性からは、「夫婦間の謎が解けた」という感想をもらいました。ご主人と一緒にゴルフのレッスンを受け始めたそうなのですが、奥さんの方は楽しくて仕方ない。ご主人はといえば、だんだん不機嫌になってしまったそうです。どうやら、自分の描くイメージに合わなくなってきたようで、しまいには「先生が悪い」と言い始めたとのこと。

田中靖浩氏

田中靖浩氏

 PDCAって、未来の高いところを目標としているじゃないですか。その前に今を犠牲にして、死に物狂いで頑張る。そこでは、我慢や忍耐が必要です。ご主人は「ゴルフが上手くなる」という高い計画を立て、PDCA的に取り組んだのしょう。対してOODAは、今を楽しまないとだめ、今を犠牲にしてはだめ、という発想です。奥さんは、OODA的考え方で、存分にゴルフを楽しんだわけです。

 これまで、日本経済は右肩上がりに発展し続けてきたので、予算を立てるにしても計画を作るにしても、目標は高いところに設定できました。しかし、今は経済が悪くなっているから、予算もそうだし、生き方もこれまでとは転換すべきです。そういう意味で、OODAというのは1つの意識革命だと思います。

守屋 ある外資系企業の知人から教えてもらったことですが、その会社では最近、人事評価をやめちゃったらしいのです。さらにいえば、有給休暇もやめてしまった。「それじゃあ、ブラック企業じゃないですか」と言ったら、休みは自由に取れるらしいんです。結果さえ出せば、完全にお任せです。感心しました。まさしく、個人でOODAやれってことですよね。

 もう1つ、田中先生にお聞きしたいのですが、田中先生は会計士さんですよね。会計士って、数字積み上げて、会社のことをきちっと理解して、次の予算につなげます、という活動の大元をやっている方というイメージがあるのですが、なんでその会計士さんが予算がだめだと言い、問題だと思うようになったんですか?

田中 たぶん、時代だと思います。自分が社会に出たのが86年。バブルの頃で、景気がよかった。ほどなくして、バブルが崩壊しました。本にも書きましたけれど、業績が悪くなってきた会社ほど、計画に頼るんですね。それはどう見てもおかしいなという違和感を感じまして。

 もし、私が10年早く生まれていたら、これ書いていなかったと思います。もうちょっと早かったら、景気が良い時期を長くすごしているはずなんで、「株主重視ですよ、皆さん」なんて言っていたかも(笑)。やっぱり自分が歩んできた社会環境が大きかったのかなと思います。

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