マネジメント対談

中国古典と軍事理論に学ぶ経営組織学 守屋淳氏×田中靖浩氏 トークショー

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 もう1つ、不思議さを解き明かす話があります。私の師の1人であり、先日お亡くなりになった大森義夫・元内閣情報調査室長が、本の中でこのように書いておられました。「日本人は客観的な情報をもとに正しく判断するということは、昔からやってきた。けれども、その情報マインドが吹っ飛ぶ瞬間がある。それはスケジュール闘争をするときだ」。旧日本陸軍でいうと、「天長節までにどこどこを落とせー」という指令がくるけど、何の合理的な根拠もないということです。しかし、そう言われちゃうと現場としては、「じゃ、○月○日までにここ落とさなきゃならないんだ、それ突っ込めー」と何も考えずに死に物狂いで頑張ってしまいます。

守屋淳氏

守屋淳氏

 私自身としては、なんでそんなメンタリティーになっちゃうのかと不思議でしょうがなかったんですね。ただ、よくよく考てみて、これはきっと論語から来たのだと確信しました。論語はすばらしい教えなんですが、やっぱり精神主義というものを、ものすごく押し出しているんですね。中国古典的にいえば、その解決策として出てきたのが、今回書いた韓非子なんです。だけど、それだけではうまく解決できませんでした。

 その後、中国の古典では、論語と韓非子の折衷によって組織や国が動いていくという形で進んでいきます。私も、孫子の本が売れた後に、出版社さんから論語の本書きませんか、というお話をいただきました。しかし、今は論語的問題が出過ぎちゃっているから、論語をストレートにやるより韓非子を取り上げて、論語的なものの良さと、論語には何が問題で、その解決策は何かということを書きたかったので、今回は韓非子の本を書くに至ったわけです。

 さて、次は田中先生です。なぜ、会計士の先生が、軍事論を取り上げたのでしょうか?

予算作ることで未来を支配しているような気持ちになる

田中 今、守屋さんのお話をお聞きして、大元の問題意識って、すごく似ているなと思いました。何が書きたいというよりか、生きていてどこかに違和感を感じ。それが執筆の原動力になっていると......。当たり前にやっていることでも、なんでこれやってるんだろうと思う瞬間ってありますよね。ふっと疑問が沸く。私は著者としてそういう疑問を一番大事にしています。

 私も、自分の観点から「予算」の話に関心持ちました。日本の会社は、めっちゃ時間かけて予算つくるんですよね。なんでこんな無駄なことやってるのかなあと思います。多くの会社は、秋口から作り始めますが、達成できないからだんだん早まってきて、たぶんそのうち、2~3年後の予算を作りはじめちゃったりして(笑)。

 こうした違和感を常々感じていたところ、守屋さんと2人で飲んだ後に、メールもらいまして。「今日の話ですが、こういう本が参考になりますよ」と教えていただいたのが、今回書いた『米軍式 人を動かすマネジメント』の中で、テーマの核となった「OODA」だったのです。守屋さんはすてきな方で、私の違和感に対して、こうしてヒントを投げてくれます。OODAが用いられている事実に反応したというより、その前に持っていた「日本人って何でこんなに計画が好きなんだろう」という疑問を説明する概念だということで反応してしまいました。

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