テクノロジーの現場から

X線CT調査が変える歴史研究の最前線 文化財の新発見相次ぐ アジアも注目

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メタンハイドレートの分析にも応用

東芝が開発したメタンハイドレート用のX線CT装置(提供:産業技術総合研究所)

東芝が開発したメタンハイドレート用のX線CT装置(提供:産業技術総合研究所)

 その成果の1つが昨年同社が開発した「堆積物検査用X線CTシステム」で、第1弾として産業技術総合研究所・北海道センターに供給した。狙いは新たなエネルギー資源と注目されているメタンハイドレートの分析だ。海底から採取したメタンハイドレートを含む堆積物を水温0度、水圧20気圧の状況下で計測する。堆積物は全長約120センチメートルもあり容易に動かせない。京博のシステム構築の際に得た、対象物を移動させずX線の発生源と検出器を上下させて計測する機能を利用した。

 文化財用では勾玉(まがたま)や金属、古代顔料に用いられる鉱物類など対象となる素材が多岐にわたる。土屋取締役は「将来はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の解析などに生かしていくことができる」と意欲を見せている。

 X線CT装置だけでなく、最新のハイテク技術はさまざまなシーンで文化財研究に貢献している。その代表的な1つが3Dプリンターだ。村上・京都美術工芸大学教授は、古墳から出土した約1400年前のボロボロに錆付いた刀剣の柄頭をX線CT調査と3Dプリンター技術を組み合わせて細部まで再現させた。さらに「卑弥呼の鏡」ともいわれる古代の三角縁神獣鏡を3Dプリンターで作成し、太陽光に反射させて背面の模様を浮かび上がらせる「魔鏡」現象を現代に蘇らせた。

 しかし村上教授は「ハイテクはあくまで技術。大事なのは、制約の多かった古代に優れた文化財を作製した技術の神髄を読み取っていくこと」と強調する。たとえば経年劣化が懸念される現代のデジタルデータに対し、約1500年前に木片などに書かれた墨は今でも一部読むことができ、記録性の点で傑出していると話す。「古代から続くものづくりの上に現在のハイテク技術がある」との指摘は示唆に富む。(松本治人)

キーワード:技術、イノベーション、管理職、ものづくり

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