会社の老化は止められない。

老化の宿命をどう乗り越えるか ビジネスコンサルタント 細谷功 氏

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 まず会社人として、「会社の老化は止められない」という現実を肝に銘じることである。アンチエイジングはできても根本から若返ることは不可能である。そして長期的に若さを保つ唯一の方法は新しい世代を生み出すことによって世代交代を図り、「人類として」の存続を図ることである。

永遠はありえない

 人間の世代交代を参考にできるとすれば、ポイントは次の3つになるだろう。

・肉体的には完全に別物になる(これによって「たまった老廃物」をクリアする)

・「考え方」(習得した言語や「常識」)もリセットされる

・ただし「DNA」は受け継がれる

 つまり会社の世代交代もこれらを満たすことが必要になるという仮説が成り立つ。

 例えば子会社が親会社から「巣立っていく」というのは1つの選択肢だろう。また「DNA」の残し方にもいくつかの選択肢がある。企業グループや持ち株会社という「大きな傘」がそれに相当するかもしれない(イトーヨーカ堂/セブン─ イレブンの事例がこれである)。ただし、この場合でも「考え方」をリセットするためには、極力個々の企業に自主性を持たせていくことが重要になるだろう。

 もちろんコーポレートガバナンスは重要な視点であるが、それによって「生命力」が下がっては本末転倒であるから、そのバランスを考えることも必要なのは「親子関係」と同じといえるだろう。

 会社にとって1つのパラダイムとしての老化は不可避だが、新しいパラダイムとなった新世代がバトンを引き継ぐことで十分に生きながらえていくことはできる。重要なのは、1つのパラダイムが永遠に生き続けることは決してないということである。

 若者には若者なりの生き方があり、年配者には年配者なりの生き方がある。それをわきまえることが重要なのは人間も会社も変わらないだろう。年をとると「無駄な抵抗」をしたくなるのが人情だが、人間の場合どんなに抵抗を見せたとしても必ず数十年以内に死が訪れることを否定する人はいない。

 会社においても「無駄な抵抗」はやめてその運命を受け入れ、うまく世代交代を図ることで老化の弊害を最小限におさえることができるだろう。無駄な抵抗をすればするほど、老害が生まれ、イノベーターの行動を阻害し、会社の活力ひいては日本の産業界の活力をそいでいく。

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