会社の老化は止められない。

コミュニケーションコストの増加で老化が加速 ビジネスコンサルタント 細谷功 氏

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 信頼関係が確立されている相手とはあっという間に終わるコミュニケーションも、知らない相手とでは手間がかかるわけで、指数関数的に「質的」なコストも増加するのである。

 階層が増えれば、社内のプレゼンテーションですら「リハーサル」が何度も行われ、役員向けの資料ともなれば「てにをは」も入念にチェックされる。

 下手をすれば大会社では社内会議でも「名刺交換」に時間が費やされることもある。そうなれば当然、従業員同士のコミュニケーションは「社外並み」のコストをかけて行われるから、ここにかかるコミュニケーションコストも推して知るべしということになるだろう。

 また他の例としては、仕事を頼む上での各担当者の「バッファー(時間的余裕)の持ち方」も互いの信頼度によって変わってくる。仕事の期限設定がその典型例である。

 信頼度の高い間柄であれば、互いの仕事の期限は相手の作業期間を考慮して、比較的ぎりぎりまで待つ期限設定になるが、はじめて仕事をする相手など信頼度が低い関係では、本当は1日前で済む期限を3日前に設定し、さらにそれが複数の担当者で連鎖的に増えて重なっていくと、役員会議用の資料を2週間前までに用意しなければならないなど、1カ月あまりが各関係者の作業に費やされることになる。

 これでは最新情報が反映されずに適切な意思決定がされるかどうかも疑わしいばかりか、各バッファーのために費やされる時間も加速度的に増加していくことになる。

 こうして構成員が増えてお互いの心理的距離が増えていくほど信頼レベルも低下し、コミュニケーションコストに加えて関連する書類作成などの業務も一気に増加のサイクルに入っていく。間接費の増加は止まらない。

「証拠づくり」は止められない

 「成熟した」会社によく見られるのが、「何かあったときに外部に対して説明できる証拠を残しておくため」の仕事である。

 スタンプラリーしかり、あるいはコンプライアンスなどの規則遵守に関しての「社内教育」しかり。こうしたものは、あくまでも目的は「ちゃんとやっていることを後で説明する」ためのものなので、実際にそれがどんな成果を生み、効果につながっているかはほとんど問題ではない。「とにかくやっていること」「それが形に残っていること」が重要なのである。

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