会社の老化は止められない。

コミュニケーションコストの増加で老化が加速 ビジネスコンサルタント 細谷功 氏

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 問題となるのはいずれかのチャネルだけで事がなされる場合である。

 図の右上の領域の、フォーマルルートでは伝わっているが本当に重要なキーパーソンには伝わっていないという状態は、形式にこだわる人が多くなればなるほど増えてくる。担当者としては問題ないという認識だろうが、実質的には問題が生じているはずで、老化の1つの弊害といえる。

 逆にインフォーマルなルートで重要人物には伝わっているが、組織図上で重要な役割を果たしていると思っている人に伝わっていないというのが図の左下の領域である。この状態になったときに「オレは聞いていない」という発言が聞かれるわけである。

 内容より器を重視するのは老化現象のなせるわざで、なおかつ、なぜ連絡が来ないかといえば、「言っても価値がないから」である可能性が高い。

 とすれば、本人としては自分の正当性を主張しているつもりでも、実際は「役割にふさわしい仕事をしていない」ということを自ら広める言動になっている。それに本人が気づいていないわけで、このような喜劇もまた老化のなせるわざといってよいだろう。

 こうした現象は、コミュニケーションコストを増加させる。組織が細分化され、階層が重層的になればなるほど「オレは聞いていない」型人材が増加する。

 その結果、「とりあえず連絡だけはしておこう」と考える従業員が増えて、電子メールでいえば「cc」の数を増殖させ、その結果、1日何百通も「ジャンクメール」を受け取る人が出てくる......といった、会社に何の利益ももたらさない事態を招くことになる。

 これもまた、「○○の増加」がたどる不可逆プロセスである。

信頼の低下が間接費を増加させる

 従業員の増加によるコミュニケーションコストの増加は、これまでに述べたような「量」の面の他に「質」の面でも現れる。

 それは「コミュニケーション相手の顔が見えなくなる」ことによるコスト増である。

 基本的に、単位人員あたりのコミュニケーションコストはお互いの信頼関係が小さくなるほど増加する。

 例えば時候の挨拶1つとっても、親しい間柄であれば不要だが、相手が同じ会社の人間なのに会ったことがなく、しかも自分より上の役職者であれば、いちいち調べた上で適切な挨拶文をメールに入れる必要が生じるかもしれない。念には念を入れて何度も推敲する人間も少なくないだろう。

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