会社の老化は止められない。

コミュニケーションコストの増加で老化が加速 ビジネスコンサルタント 細谷功 氏

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 従業員数が増加すると、従業員と従業員のコミュニケーション機会は増えていく。

「ほうれんそう」の功罪

 しかも増えた従業員の数だけ増えるのではなく、コミュニケーション機会は「順列・組み合わせ」だから指数関数的に増えていく。従業員1人当たりのコミュニケーションにかける時間は増える一方である。それにともない物理的な会議や電子メールに費やす時間もIT上のネットワークコストやサーバー容量も加速度的に増えていく。

 社会人になりたての若手社員がまず覚えさせられるサバイバルスキルは、上司や同僚への報告・連絡・相談、いわゆる「ほうれんそう」である。

 大きな組織になればなるほど階層の多重化である「縦の細分化」も、機能別の部門分化である「横の細分化」も進んでいくから、従業員同士だけでなく部門間に必要なコミュニケーションも指数関数的に増えていく。したがってこまめな「ほうれんそう」は基本中の基本というわけである。

 別の言い方をすれば、新入社員でも「ほうれんそう」のできる人は、一般的にいえば上司からかわいがられる。大会社になればなるほど、自ら発信する力よりも潤滑油としての自分の機能をうまくこなす力のある人の方が社内での評価が高い。

 端的にいえば早く昇進していくから、「コミュニケーション重視」の姿勢はより強くなっていき、老化に拍車がかかる。

 「ほうれんそう」をはじめとするコミュニケーションは、とくに大会社において重要であることは間違いない。ただここでよく考えてみてほしい。

 「ほうれんそう」そのものは、会社としての付加価値の創造に貢献していない。「ほうれんそう」はあくまでも手段であって、最終的には、上司と部下の間で付加価値を生み出す創造的な関係性がいかに構築できるかが会社の価値を決めていくはずである。

 「ほうれんそう」の「そう」(相談)において創造的な活動がなされてしかるべきだが、多くは「ほう」と「れん」で終わってしまうのが実態ではないか。

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