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そのコンサル、財務的成果を出せる人物か 長谷部智也

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 提言は、単なる顧客の声、競合の情報、物の考え方、定量分析結果などではない。こういったものはプロジェクトの途中の中間成果物であり、これだけでは行動変化は起こらない。

 提言すなわち戦略は、実行可能な「アクションの集合体」でなければならない。提言を受ける前と後とで、現場に行動の変化が起こらなければ、財務的成果は出ない。

 起用者側は、コンサルタントの提言の抽象度が高く、いまいちどういうアクションを取れと言っているのかが分からない場合は、厳しく「わが社の取るべき具体的なアクションは何ですか?」と何度もコンサルタントに問い正すべきである。クライアントとして具体的なアクションの提言が得られるまで、決して妥協すべきではない。

 コンサルタントの基本的な思考技術としてSo what?(だから何?)というのがある。事実関係、例えば競合の動向を調べる、新しいことが分かる、それを受けて「だから何なのか?」、その情報を知る前と後とで、自社の現場の行動はどう変わるべきなのか? それはなぜか? そのアクションを導き出せないコンサルタントを起用する意味はない。

 アクションの提言、というのはあまり突拍子もないことはほとんどなく、愚直な行動を導くものが多い。突拍子もないものから財務的な成果が出ることは稀であり、当たり前のことを、定石に従って徹底してやり切ることから、初めて大きな財務的成果が出る。

 従って逆説的であるが、新鮮で面白い提言にはむしろ注意が必要なのである。すべての人が、すべての情報がアクセスできる、情報の非対称性が限りなくゼロになっている現代に、そんな突拍子もないものが提言として出てくること自体、疑いを持ってかかるべきである。

――結果を出せるコンサルタントを見抜く質問

 財務的成果につながるアクションの提言ができるコンサルタントを見極める質問は、「わが社として、明日の朝からでもすぐに取るべき、最も重要なアクションは何ですか?」である。

 コンサルティング会社の選定会議の際に、提案のプレゼンテーションを聞いた直後にこの質問をしてみよう。

 クライアントが実行すべきアクションを、本当に考え抜いているコンサルタントであれば、プロジェクトを始める前から、3つや5つのシンプルで財務的成果につながる具体的なアクションが即答できるはずである。

長谷部 智也 著 『いたいコンサル すごいコンサル 究極の参謀を見抜く「10の質問」』(日本経済新聞出版社、2016年)「質問4 わが社が強豪に勝つために取るべき最も重要なアクションは何ですか?――能書きではなく「アクション」至上主義か?」から
長谷部 智也(はせべ ともや)
北海道札幌市生まれ。東京工業大学大学院修了、ミシガン大学ビジネススクール修了(MBA Essentials for Executive Education)。三井住友銀行を経て、コンサルティング業界に転じ、A・T・カーニー、べイン・アンド・カンパニーで16年に及ぶコンサルティング経験。べインでは日本支社のパートナーとして、金融プラクティス、業績改善プラクティスをリード。ベイン退社後、事業会社に転じ、国内大手総合アパレルの株式会社TSIホールディングス上席執行役員を経て、同社特別顧問。現在は、クレジットカード国際ブランドの日本地区上席副社長に就く。著書に『企業価値4倍のマネジメント』(共著、日本経済新聞出版社)。ビジネス誌(ハーバードビジネスレビューほか)、金融業界誌(金融財政事情、金融ジャーナルほか)への寄稿多数。経済同友会会員、IMA(国際経営者協会)理事。

キーワード:経営、企画、経理、経営層、管理職、人事、人材、グローバル化、研修

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