マネジメントインタビュー

もう「日本人は均質」にあらず? 静かに広がる世代間ギャップ マネジメントソリューションズ 代表取締役社長 高橋 信也氏

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 私のような40歳くらいの世代では、まだITバブル(1990年代末)の影響も残っていて、お金を稼ぐとか、会社を大きくするとか、世の中で名を上げるといったことでモチベーションを高めていたと思う。もちろん、それを実践して挫折した人も多いだろうが、チャレンジして人生をより良くしていこうという意識がある。私より若い世代にもそういう感覚はあるはずだが、そう考える人の割合が違うと思う。

 たとえば20代後半の社員を見ていると、働くモチベーションは高いのだが、とはいえ、ほかの世代のように共通する感覚・意識を一言で表しにくい。働くことの意味合いが人によってかなり違うからだ。ある人は食べていくため、ある人は出世のため、ある人は将来独立するため、そのほかにもいろいろある。

多感な10代に過ごした経済・社会環境が全然違う

 さらに若い20代前半の社員になると、より「守り」に入っていく雰囲気が感じられる。彼ら・彼女らが心の中に抱える「漠然とした生活の不安」は、40代以上が想像する以上に大きいようだ。詳しく聞いてみると、年金問題への不安や、多感な10代に経験した大地震への恐れなどが、私たちの世代よりもっと大きな影響を与えている。だから彼ら・彼女らは、「とにかく今を楽しくしたい」と考える傾向が強いと感じる。

 人材育成面でも、20代前半には「ほめて伸ばす」タイプが多いと言われているし、自分から「ほめられたい」と口にする。40代以上なら自分から「ほめられたい」とは言わないと思うのだが、今の20代前半にはそういう心理もある。

 とにかく、年齢が5歳違うと、働くことに対する価値観が異なると強く感じる。この20年は、特にものすごいスピードで経済や社会環境が変わってきたので、「そこで多感な時期を過ごした影響は非常に大きい」という前提で組織マネジメントをしていかないとダメだと思う。

 自分たちの20代の頃を思い出しながら「自分はこういうふうに育ったな」という経験をもとに語ってはいけない。「自分と同じ年齢になれば同じように考えるようになる」と思ってもいけない。彼ら・彼女らの置かれた環境や価値観や思いをしっかり受け止めたうえで、こちらの思いを語らなければならないと感じている。

――5歳ごとに価値が違っているとしたら、そのギャップを埋めていくのは、決して簡単ではなさそうだ。

 マネジメント側の思いを押し付けずに、価値観のギャップを埋めていくには、逆説的だが「常に自分自身を振り返る」必要がある。自分たちの経験してきた環境に起因する価値観を常に自覚して、それを押し付けないようにすることが大切だ。その一方で、仕事の本質的な部分は、自分たちの経験をしっかりと伝えていかなければならない。

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