マネジメントインタビュー

経営判断の鍵は時代に合った価値観のバランス――渋沢栄一に学ぶ日本資本主義の原点 作家、中国古典研究家 守屋 淳氏

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――経営者にとって絶対に必要な心得的なものはありますか。

 私は今、大企業の幹部研修をやっています。そこでお話しすることのひとつが、まず会社の範囲がどこかというのを、社長になる前にきちんと考えておいたほうがいいということ。米国で言うと会社の範囲は株主とボードです。社員はいくら切ってもOKというか、会社の範囲にそもそも入っていない。日本だと、経営者と従業員になる。最近は、株主軽視と言われたりしてちょっと変わってきていますが、雇用をちゃんと守ろうとしたり...。完全に価値観が違うんですね。

自分の価値をどこに立て、その価値から自分の会社をどう経営するかを考える

 これが混乱したままで何かをしようとしても、絶対に上手くいかない。「皆さん、いったい何を守りたいんですか、最終的には」と問うわけです。そこをきちんとしておかないと、そもそも責任者のやるべきことが全うできませんよと。その根本として、経営者というか会社の価値とは何かというところに行き着くんです。

 渋沢栄一にとってそれは、最終的には社会や国をよくすることでした。そこに価値を置いてあり、そこから逆算する形で会社の意義を考えたところがあります。価値観が多様化している中で、いろいろなことに流されて、あっちからこっちからとやっていると、すぐに会社はぼろぼろになってしまう。今の経営者というかこれから経営者になる人は、まずは自分の価値をどこに立てるのか。その立てた価値から自分の会社をどう経営していくのか。まず、それを考えたほうがいいんじゃないのかなと。それが、渋沢栄一にとっては『論語と算盤」という言葉に表されているわけです。

――かつてのように長い期間社長でいられる会社が少なくなってきました。そうなると、社長というよりも会社、つまり最近で言うフィロソフィーとか社是が重要になってきませんか。

 そうですね。これは知り合いのコンサルタントに聞いた話ですけど、経営幹部に社是と経営理念を書いてくださいというと、ちゃんと書ける人ってかなり少ないらしいんです。言い方は悪いですが、日本の会社の社長ってお飾りになっちゃっているんじゃないですかね。「まず、経営幹部になるんだったら社是は覚えましょう。経営理念も丸暗記でいいから記憶しましょう」――。コンサルタントの方は経営幹部に、こんな話をするみたいなんです。

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