マネジメントインタビュー

経営判断の鍵は時代に合った価値観のバランス――渋沢栄一に学ぶ日本資本主義の原点 作家、中国古典研究家 守屋 淳氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 近代の価値観のベースになっているのは、近代工業社会において工場を作って安くものを作れた人が大金持ちになれたこと。ですが、工場を作るのにお金がすごく必要なので、大金持ちがお金を出し合うか、投資を募るしかない。投資を募ると何が起こるかというと、成長圧力が出てきます。投資した分、上乗せしてリターンしてくれという圧力です。そうなると右肩上がりという価値観が出てきます。

近代の価値観と近代以前の価値観のバランスをどうとるか

 それと、投資した大事なお金を守るために短期でチェックが入るようになる。そうすると、四半期ごとの決算ではないですが、短期目線になりがちです。消費者に新しいものを買わせたいから、新しいものがいいという価値観も出てくる。この3つの価値観は、近代以降、特に強くなった価値観です。米国型の資本主義といわれるのは、この3つの価値観がベースになっています。

 一方、近代以前の価値観は異なります。ものごとは右肩上がりではなく、循環するんじゃないかという価値観です。長期目線で物事を考えなければダメだという価値観。古いものの方に使い出があるという価値観もある。論語はこの3つの価値観を備えているのです。

 良い判断というのは、これらの価値観のバランスの中にあるんですよ。どっちかが良いのではなくて、状況に応じてそのバランスの中に良い判断というのがある。例えば、日本の経営者の場合、近代以前の価値観で間違える場合もありました。いい例が、山一證券とかオリンパスですね。バブルの後に大型のマイナスを背負ってしまった。循環で考えると、そこにいてもまた上がるので、長い目で考えれば、循環の中でマイナスが解消できると思っちゃったわけですよ。近代以前の価値観で処理しようとしたけれど、みごとに循環せずにもっと下がってしまった。

――難しいですね。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。