マネジメントインタビュー

日本企業の興亡をかけた「垂直統合化」の戦い GFリサーチ 代表 泉田 良輔氏

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――民生品と産業用途で業績に違いが出るか。

 民生品は、差別化が難しくなっているから苦しい。スペックだけを見れば中国製のスマートフォンも結構良いので、値段では競争できない。そうすると上位レイヤーのクラウド・サービスが差別化のポイントになるが、iTunesやApp Storeのようなサービスを日本のメーカーが提供できているわけではない。サムスンですらできていない。こういう民生品の競争構造においては、日本の電機メーカーに勝機はないと考えている。

 一方、産業用途では、設備投資が戻ってくると見ている。先進国の景気が回復してくる中、業務効率化やモノづくり効率化のために設備投資が増えるだろうし、実際のところ米国では自動車産業の設備投資が戻りつつある。

 民生品と産業用途のどちらに強いかで、電機メーカーの業績は色分けされていくだろう。コンシューマー向けの製品に強いシャープ、ソニー、パナソニックは、引き続き業績はさえないだろうし、産業用途に強い企業はその恩恵を受けるだろう。

 一番分かりやすい例は精密小型モーター大手の日本電産である。日本電産はずっとパソコン(民生品)のハードディスク用モーターを手掛けてきたが、これまでにM&Aをした企業を見ると、自動車用モーターなど産業用途のメーカーばかり。パソコン用ハードディスクの需要は落ち込んでいるが、がらりと変わった事業ポートフォリオのおかげで、日本電産のモーター事業は安定した業績を残している。同じくパソコンのハードディスク向けに、TDKが磁気ヘッドを製造しているが、こちらの事業は低迷している。

<FONTBOLD />図表3 日本電産の製品グループ別売上高比率</FONTBOLD></p><p> 出所:日本電産の決算資料をもとにGFリサーチが作成

図表3 日本電産の製品グループ別売上高比率

 出所:日本電産の決算資料をもとにGFリサーチが作成

 これは、民生品が苦しくて、産業用途が明るいという構造をよく示している。そして、日本電産とTDKでマネジメントやM&Aのセンスの違いが明確に出たともいえる。日本電産の永守重信社長は先を読んでいたのだなと思う。図表3のように、日本電産の売上高に占める産業用途等の比率をグラフ化すれば、年を追ってきれいに上昇していることが分かる。これは恣意的に取り組まなければできないことだ。

キーワード:経営、企画、経営層、ものづくり、技術、人事、人材、働き方改革、イノベーション、ICT、グローバル化

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