マネジメントインタビュー

日本企業の興亡をかけた「垂直統合化」の戦い GFリサーチ 代表 泉田 良輔氏

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 「次はコンテンツの戦いだ」という視点で世の中を見回してみると、米有力ヘッジファンドのサードポイントがソニーの大株主となり、「映画・音楽などのエンターテインメント事業を分離上場させよ」と要求してきている。彼らは、コンテンツの重要性に気付いているからこそ、分離上場させ、その大株主となって自らの影響力を高めたいのだと思う。

 私は本の中で、ソニーの今後の事業ポートフォリオとして「M&Aを通じて、安定しているコンテンツ事業(音楽や映画)を大きくしていく」というケースを想定していた。だが実際は、ソニーが動くより先に、サードポイントがソニーのコンテンツを狙ってきた。サードポイントが「おいしい」と思っているのだから、逆にソニーが別の会社のコンテンツを買いに行ったらいいと思う。

 もう1つ、非常に面白いことに、ソフトバンクも昨年、米ユニバーサルミュージック・グループの買収を試みているという報道があった。iPhoneで席巻したソフトバンクがコンテンツを売ってほしいと言っているのだ。つまりソフトバンクの孫正義社長も「次はコンテンツである」と見切ったのだと思う。

 この買収交渉は成立しなかったが、ソフトバンクはオンラインゲームの運営企業であるガンホー・オンライン・エンターテイメントを買ったり、フィンランドのゲーム会社スーパーセルを買ったりしてコンテンツ寄りにビジネスを進めている。国内ではスマートフォンのシェア争奪戦がある程度落ち着いてきたので、「その上位レイヤーであり、将来に価値が高まるであろうコンテンツを今のうちに仕込んでおこう」というのが、知見がある人たちが進めていることなのだと推測している。

エネルギーを軸に、スケールの大きい事業プランを描けるか

――ここまではIT産業について聞いてきたが、ほかの産業で垂直統合化はどうなっているのか。

 最近注目の「エネルギー」に大なり小なり関連する産業では、次の20年から30年のテーマは「エネルギー×ICT(情報通信技術)×ハードウェア」という垂直統合にあると思う。この3つを持っている企業が最強になり、1つでも欠けると相当弱くなるはずだ。

 日本では東芝が一番近いところにいて、彼らはそれに気づいている。例えば原子力発電システムでいえば、東芝はウラン鉱山から、原発プラント、スマートメーターまで押さえて、ワンパッケージで売れる体制にしている。ハードウェアである原発プラントそのものだけではなく、エネルギーの川上にも川下にも手を伸ばし、エネルギー×ICT×ハードウェアで垂直統合しないと競争できなくなる、という考えが読み取れる。そこまで先を読んでいる企業は非常に少ないのではないか。

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