マネジメントインタビュー

日本企業の興亡をかけた「垂直統合化」の戦い GFリサーチ 代表 泉田 良輔氏

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 一方、ハードウェアだけの工夫であれば、時間が経てば模倣されることになる。そこで入力インターフェースの情報処理をクラウド側にシフトさせることで容易に模倣できないようにすることも重要だ。また、アプリケーション、コンテンツ、サービスプラットフォームで顧客を囲い込むことができれば模倣されるリスクを抑えることができる。

 このようなプラットフォームを確立してしまうと、まったく新しい競争のルールを持ち込まれた際には迅速に対応できないというケースもある。しかし、現状は図表1で示したように世界の主要プレーヤーが1社ですべてを抱え込み、各レイヤーを組み合わせることで参入障壁を高めるという方針をとっている以上、この流れはしばらく続くとみるのがメインシナリオだ。「しばらく」というのは、例えばインテルやマイクロソフトが過去20年近くこれまでのビジネスモデルで覇権を握ってきたことを考えれば、決して短い期間ではない。

イノベーションは制御不能、だからキャッシュ蓄える任天堂

 少し横道にそれるが、魅力的なユーザーエクスペリエンスを生み出すためのイノベーションについて面白い話がある。

 ゲームの世界で垂直統合モデルを築いている任天堂も、ユーザーインターフェースの変化とそれに伴う新しいユーザーエクスペリエンスがゲームの可能性を広げると考えているようだ。

 最近の任天堂がなぜ調子が悪いかというと、ゲーム機のユーザーインターフェースを十分に変えることができていないからである。任天堂はこの30年で3回のイノベーションを起こした。最初はファミコンの十字ボタン、次はニンテンドーDSのタッチパネル、そしてWiiのモーションコントロールである。すべて入力インターフェースの技術であり、これらが任天堂の新しいゲームの世界を築いた。

 だから、ユーザーインターフェースを変えられないと飽きが来る。Wii Uがなぜ売れていないかというと、新しく出したゲームパッドにインターフェースの新しさがなかったからだ。「たいして変わってないよね」と思われたら、そこで勝負ありになってしまう。

 新しいインターフェースは「出るか出ないか分からない、コントロール不可能」と考えておいた方がよい。任天堂はたまたま30年間で3回のイノベーションを起こせただけであって、うまく経営して3回出せたわけではないと当事者たちは考えているのではないだろうか。

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