マネジメントインタビュー

日本企業の興亡をかけた「垂直統合化」の戦い GFリサーチ 代表 泉田 良輔氏

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「魅力的な顧客体験」が何より重要

――なぜ垂直統合型の事業モデルが必要なのか。

<FONTBOLD />泉田 良輔(いずみだ りょうすけ)</FONTBOLD></p><p> GFリサーチ代表。1976年愛媛県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、日本生命保険相互会社を経て、2002年から2012年までフィデリティ投信 (FIL Investments) 調査部でアナリストとして、エレクトロニクス、インターネット、ゲーム、機械セクターなどを担当。上場企業のトップマネジメントへ定期的に取材を行い、各企業の戦略や競争優位の評価、バリュエーションに基づいた投資判断を行う。クロスボーダーの調査も得意とし、海外のテクノロジー企業の取材も積極的に行う。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科にも在籍。

泉田 良輔(いずみだ りょうすけ)

 GFリサーチ代表。1976年愛媛県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、日本生命保険相互会社を経て、2002年から2012年までフィデリティ投信 (FIL Investments) 調査部でアナリストとして、エレクトロニクス、インターネット、ゲーム、機械セクターなどを担当。上場企業のトップマネジメントへ定期的に取材を行い、各企業の戦略や競争優位の評価、バリュエーションに基づいた投資判断を行う。クロスボーダーの調査も得意とし、海外のテクノロジー企業の取材も積極的に行う。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科にも在籍。

 顧客にとって魅力的なユーザーエクスペリエンス(顧客体験)を届け、自社の製品サービスの世界観をしっかりと伝えるには、製品とサービスの垂直統合化が欠かせないからだ。米アップルがiPhoneで実現したのは、アイコンとマルチタッチ方式の新しい入力インターフェースを提供し、その先にあるソフトウェアやコンテンツ、サービスを含めたユーザーエクスペリエンスを一変させたことである。もしアップルが5つのレイヤーのどこかを押さえていなかったら、ユーザーエクスペリエンスを一変させることは難しかっただろう。

 例えばアップルはiPhone 4Sで、新しいユーザーエクスペリエンスとして音声認識の検索サービスSiriを提供し始めた。このサービスは、iPhoneから音声の検索リクエストを受け取り、クラウド(データセンター)で音声解析して適切な検索結果を返すもの。このときのiPhoneはユーザーインターフェースそのものであり、そこを押さえていないとクラウド・サービス(Siri)もコントロールできなくなり、アップルの世界観を伝えづらくなってしまう。まさに垂直統合されているから可能なビジネスであり、だからこそデータセンターからハードウェアまでを押さえていないと競争に勝てないのだ。

 ただし、現在のスマートフォンという形のハードウェアそのものに変化の余地が少なくなっている。土台が変わらないのだから、この垂直統合モデルも相当先まで変わらないだろうが、別の問題もはらんでいる。iPhoneが登場したのは2007年で、今はもう2014年。7年も皆が同じものを使い、同じようなユーザーエクスペリエンスを重ねている。結構、飽きが来ている気がする。ここに、もう1度入力インターフェースとなるハードウェアにイノベーションが起こるかどうかは重要な点である。

 現在、多くの企業が新しいハードウェアの形としてウエラブル型ハードウェアの開発に熱心だ。これも各社が現在のスマートフォンの形に限界が来ているとみている兆候だ。ウエラブル型ハードウェアの入力インターフェースは音声認識などをはじめ様々なものが試されているが、そこで消費者を引き付ける入力インターフェースを提案できた企業が今後長期にわたり競争優位を確立するとみている。音声入力は公共の空間で情報秘匿性を確保できないため(簡単に言うと恥ずかしい)、なかなかユーザーに受け入れられていない。私は、今後は触覚を切り口とした入力インターフェースが主流になるのではないかとみている。

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