マネジメントインタビュー

「グローバル人材育成」に王道なし 経営戦略と同期化させ人事プロセスの見直しを 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授 中原 淳 氏

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 企業活動のグローバル化が加速する中、グローバル人材の確保や育成が企業の人材施策の重要課題になっている。だがグローバル人材育成は関心が高い割に、確立した理論や研究・データの蓄積が乏しく、現場は試行錯誤の状況にある。グローバル化に対応する人材育成の問題をどのようにとらえ、どう進めていったらいいのか。東京大学 大学総合教育研究センター 准教授の中原淳氏に聞いた。

「グローバル人材育成」をめぐる課題は千差万別

――グローバル人材育成の必要性が数年来、強く叫ばれていますが、定義や方法論などまちまちで、どうも議論がかみ合っていない印象があります。

<FONTBOLD />中原 淳(なかはら じゅん)</FONTBOLD></p><p> 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授。大阪大学博士(人間科学)。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米マサチューセッツ工科大学客員研究員等を経て、2006年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・コミュニケーション・リーダーシップについて研究している。専門は経営学習論(Management Learning)。

中原 淳(なかはら じゅん)

 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授。大阪大学博士(人間科学)。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米マサチューセッツ工科大学客員研究員等を経て、2006年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・コミュニケーション・リーダーシップについて研究している。専門は経営学習論(Management Learning)。

 「グローバル人材育成」は通常、「グローバルに企業活動を行っていくことに資する人材マネジメント」の意味で使われていると思いますが、それが指し示すものは非常に多種多様です。何か決まった処方箋や王道のようなものがあって、「これをやればOK」という類の問題ではない。

 最も優先して考えなくてはならないのは、その企業がグローバル化という文脈において、どのように戦い生き残っていくのか、という経営戦略です。そこから遊離して人材育成を議論しても仕方ないわけで、大前提として、自社の経営戦略との「同期性」において語る必要がある。それができていない、あるいは、課題が個別に異なるため、一概には語りえないところに、議論が成立しにくい原因があると思います。

 以前僕は、「グローバル人材育成」という言葉を使うのはやめたほうがいいと提唱したことがあります。「グローバル人材育成」という言葉を使った途端に、妙に浮き足立ってしまい、思考停止に陥りやすいと感じるからです。

――確かに「グローバル化」と一口に言っても、その内容や程度は企業によってさまざまです。

 その企業が扱う商品や進出する市場、グローバル化の成熟度合いや現地での戦略などによって、人材育成の姿は全く違ってくるはずです。例えば、現地に生産拠点としての工場をつくりたいのか、現地の市場を開拓したいのかによって、求める人材の資質や能力は当然異なってきます。同じ工場でも、新規に建設する場合は、その工場を立ち上げ、現地のマネジメントを担う日本人を育成する必要があるでしょうし、買収するのであれば、現地の経営者や社員を対象に、技術なり、経営理念なりをどう伝えるか、といった問題になるでしょう。今は円安を背景にM&A(合併・買収)が盛んですが、どこまで現地に任せて、どこまでこちらでコントロールするかによっても、さまざまなパターンがありえます。

 現実問題として、日本人の教育ならそれぞれにやりようはあると思いますが、中国やインドの人たちをどう教育するか、という話になると、国ごとの文化差も大きいですし、前例もほとんどない。また国内でも、新卒の1割くらい留学生を採用する例がめずらしくなくなる一方で、留学生の離職に頭を抱える企業も多い。そうなると、今度は上司向けの研修も課題に上ってくる。具体論になると、それこそケースバイケースの世界になってきます。

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