マネジメントインタビュー

製造業「復活の答え」はもう出ている、実行は今 経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山和彦氏

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 取締役会は、「下から上がってこない問題」や「コンセンサスが取れるまで待っていたら時機を逸してしまう案件」について議論して決める場である。経験的に、昔は取締役会の案件が100あったとして、そのうち1つくらいしか共同体に不協和音をもたらす案件は無かった。しかし、最近は経営環境が厳しくなって、10に1つがそういう案件になっている。そこで意思決定を先送りにしてしまったら、傷を深くしてしまう。

取締役会に「それはおかしい」と言える人がどれだけいるか

 取締役会の誰かが「それはおかしいだろう」と声を上げて、先送りせずに議論を始め、戦略を決定しなければならない。戦略的な意思決定というのは必ず「あれか、これか」を選ぶことだが、多くの日本企業では「あれも、これも」という決定をしてしまう。事業の撤退も、「撤退するか、しないか」しか選択肢は無いのに、「撤退するようなしないような」みたいな玉虫色の話で終わってしまう。

 そういう会社では、社外取締役を増やすなどしたほうがいい。もし社外取締役が機能していないなら、うまく機能するように変えていかなければならない。社外取締役にとって、10の案件のうち、9つは流していい。ただ、10のうち1つは、「これはいけない」と思う意思決定がある。そこでしがらみのない意見を出せれば意思決定の品質が高まる。

 内部の人間は、とかく狭い視野で最適解を求めようとする。とりあえず事を荒立てないようにしようとか、誰かの顔を立てるためにこうしようとか、そういうことを考えてしまう。だから日本の経営者は意外と「短期志向」である。当面の調和を保とうとばかり考える。

 例えばカネボウでは、「客観的かつ中長期的に考えて、繊維事業が競合他社に勝てるわけがないでしょう」と取締役会で問えば、皆がそうだろうと頷いた。続けて「これからカネボウの屋台骨を背負える事業にはなり得ないでしょう」と問えば、皆がその通りだと同意した。そこまで分かっているのに、「ならば撤退する議論をしなければならないでしょう」と問題提起しなかったら、当面の収益改善策ばかりを議論しようとするだろう。何しろカネボウでは、社員の半数が繊維事業で働いている最大派閥だったのだから。大手電機メーカーのテレビ事業部も似たような状況なのではないか。

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