マネジメントインタビュー

製造業「復活の答え」はもう出ている、実行は今 経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山和彦氏

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 私は「スモール・バット・グローバルナンバーワン(Small but Global No.1)」というコンセプトを提唱している。モジュールのような小さな市場でも世界で1番を目指そうという考え方だ。1ドル80円の超円高な時期においても、ファナックは40%の営業利益率を達成しているし、そのほかにも、手術用縫合針などで業界シェア90%を握るマニーは35%、小型ロボットの精密減速機で世界シェア50%のハーモニック・ドライブ・システムは21%を達成した。ほかにも、特定分野で世界シェアトップを握って、10~30%台という非常に高い営業利益率を達成した企業はたくさんある。

 高収益を上げられる理由はこうだ。まず、すり合わせ要素の大きい、得意な領域にフォーカスして大きなシェアを取ったこと。そして、その市場セグメントで大きなシェアをとったからこそ、過当競争を避け、強気の商売をして収益力を高められたことである。日本メーカーが生き残っていくには、この戦い方が必要である。

小さいけれど高収益な事業はいくらでもある

――大企業ほど大きな市場を求めているのではないか。

 大きな市場ばかりを考えるべきではない。例えばスマートフォン。すり合わせ要素の多いモジュールを手がけるのは分かるが、組み立てて完成品を作る事業に手を出すのはどうか。「次はこの市場が伸びそうだ」という情報が流れると、そこにわっと群がって過当競争になり、利益が出なくなってしまう。「急成長」「大市場」という情報に負けて、ふらっと手を出し、不得意な領域で厳しい戦いをしているのが実情だ。だから利益率が低い。

 大きな市場で一発逆転ホームランを狙おうとすると、「どの市場で戦うべきか」と悩むかもしれない。しかし、もし「スモール・バット・グローバルナンバーワン事業でいいんだ」「売り上げが1桁、2桁小さくてもいいんだ」と発想転換すれば、候補はいくらでも出てくる。実際、大手メーカーは、そういう「小さいけれど高収益な事業」を知っていながら、一つひとつ丁寧に拾い上げていくことを怠ってきたにすぎない。

 売上高5兆円もあるようなグローバル企業にとってみれば、グローバルで100億円程度しかない市場に対して「ウチがやるビジネスではない」と考えるのも当然かもしれない。しかし、その結果が利益率の低下に表れている。

 だから、売上高1兆円の会社があるとして、この会社が1つの事業領域で1兆円を売り上げるより、100億円の「スモール・バット・グローバルナンバーワン」事業を100個積み上げたほうが絶対に強い。

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