マネジメントインタビュー

製造業「復活の答え」はもう出ている、実行は今 経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山和彦氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 ただし、日本でも利益率が40%とか30%とか高い会社はあって、そういう会社は誰が見てみても世界的に良い会社である。あるいは総合電機メーカーでも、事業部ごとに見れば利益率が高いところはある。

 問題なのは、ROSやROEが低い事業をどうするかだ。未来に向けた投資的なフェーズにあるからROS/ROEが低い事業があるというのは理解できる。しかし、ROSやROEが低い事業の実態は違う。もう寿命が来た事業なのに、はっきり言って「いつまで続けているんだよ!」というものばかりだ。そういう事業を早くやめて利益率を高めるべき、というのが私からのメッセージの1つである。

――やめるべき事業は、どう見極めたらいいのか。

 自分たちの強みや得意技を生かせる領域で、かつ、これから盛り返せる事業かどうかが指針になる。具体的には、日本メーカーの得意技であり、競争力でもある「すり合わせ」が有効な事業かどうかだ。

 よく言われるように、最近の製造業ではモジュール化が進んでいる。もし自社の製品が本当にモジュール化していて、モジュールを組み合わせるだけで作れてしまうようなら、率直に言って日本をはじめ先進国のグローバルメーカーが手がけるビジネスではない。モジュール化が進んだ製品では、部品間や工程間など、あらゆるところで調整を重ねて高品質なものづくりをする「すり合わせ」の技を生かせないからである。典型例は、テレビ、パソコン、スマートフォンのような、消費者向けのボリュームゾーンにあるAV(オーディオ・ビジュアル)製品やICT(情報通信技術)製品だ。

 そうすると、すり合わせ要素がない事業に対する選択肢は2つに絞られる。1つは、事業をやめること。もう1つは、自分たちの強みを生かせない部分、自分たちでは儲けを出せない部分をアウトソーシングするか、水平分業でほかの会社にやらせること。後者の典型例は米アップルである。デザインとマーケティングだけしかやらず、製造は台湾メーカーにまかせている。そういう自社の強みを出せるところに特化する戦い方がある。

 ただし、選択肢としては2つあるが、多くの日本企業にとってアップルのようなビジネスは苦手なのではないか。残念ながらBtoC市場のボリュームゾーンでは、日本企業の得意技を生かせる分野が以前よりだいぶ小さくなっている。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。