マネジメントインタビュー

日本の経営陣は"半沢直樹"のようになれるか エゴンゼンダーインターナショナル 代表取締役 佃秀昭氏

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フィードバックをしないから役員の成長が止まる

――多くの日本企業で、悪い仕組みが長年放置されていた。従来の人事考課などが適切でなかったことになる。

 日本企業の人事部は、組織内での位置づけが高く、権力を持っている。この傾向は、特に金融機関で顕著にみられる。

 しかし、人事部の権力は強くても、役員・社員を適切に評価し、育成するための人事機能は弱い。欧米と比べて、人事のプロフェッショナルも少ない。とりわけ日本企業が弱い分野は「役員人事」と「リーダーシップ開発」の2つである。

 一番問題だと思うのは、役員に対するフィードバックが甘いことだ。このために、正しい自己認識を持たない役員が実に多い。本来なら、役員であっても「あなたはここが強いけど、ここは弱いね。今年はこの弱いところを改善していこう」と社長がきちんと指摘して、成長を促していかなければいけない。欧米企業では必ずやることだが、これを実践している日本企業はほとんどない。

 なぜかというと、日本人はやはり、厳しいフィードバックができない。日本人のDNAの中に刷り込まれている。私も同僚の評価をするとき、「あなたはここが良かったけど、ここが悪かった」と話すと、「ここが悪かった」という話になった途端に相手の顔色が変わる。

 だから多くの企業では、厳しいフィードバックについて「それは本人も分かっているはず」と都合よく考えて言わない。もし言ったとしても、オブラートで5重くらいに包んで言うから、相手がそのメッセージをうまく理解できなくなってしまう。

 その場ではやさしく接しているわけだが、その行為はグローバルスタンダードから見ると大きく外れている。本人に気づきの機会を与えず、何をどう変えて成長していかなければならないかを伝えないことが、役員の危機感の欠如につながっている。

――欧米では、どのように厳しいフィードバックをしているのか。企業の最上位にいる社長や会長には、誰が厳しいフィードバックをするのか。

 欧米企業の例はどうかというと、GEの元CEOであるジャック・ウェルチ氏の話が分かりやすい。彼は自分自身を「世界で一番給料が高い人事マネージャー」と表現している。人事機能の一番の担い手は社長であるということを実践していた。役員人事を人任せにせず、自らリードしたのだ。

 そしてジャック・ウェルチは、自身にコーチを付けていたことでも有名である。CEOになっても自身のリーダーシップを開発し続けた。彼はGEという世界屈指の大企業のCEOになって、ある意味"帝王"のごとく自分本位に振る舞うこともできたはずなのに、そうしなかった。第三者のコーチに従い、自身の考えや振る舞いについて話し合い、気づきを得ていた。

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