マネジメントインタビュー

また日本の製造業は「負けパターン」を繰り返すのか GFリサーチ 泉田良輔 氏

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 日本には約2500社の国内企業が参画するIoT推進コンソーシアムがあり、10月には共通アーキテクチャーにもとづく実証実験などについてIICと協力していくことを発表した。この協力関係において日本企業がどのくらいイニシアチブをとれるのかはまだわからないが、先行するIICに日本側がすり寄っていったようにみえる。国内でIoT推進コンソーシアムを設立した意味は何だったのか、そのグランドデザインを問い直す必要がありそうだ。

 国内では、すでに三菱電機が「e-F@ctory」というインダストリー4.0と同様の取り組みをグループ内で展開している。ただ、多数の企業を巻き込んで大きなエコシステムをつくる取り組みにまでは至っていない。インダストリー4.0のように国が主導しているのか、三菱電機のように一企業が主導しているのかで、レベル感が違う。現時点で、電機産業のアナリストたちの間では「日本の工作機械メーカーの製品は精度が非常に高く、日本の工作機械メーカーの経営が急激に不安定になることはないであろう」と考えられているが、それほどの強みがあっても安心できなくなりつつある。

日本企業の2つの選択肢

 産業機器にまで広がりつつある「システムの競争」に対して、日本企業はどのように行動すべきなのか。基本的には同じ「システムの競争」を目指すしかないだろうと考えている。産業機器をネットワークでつなぎ、しっかりとサービスプラットフォームをつくり上げるのだ。

 たとえばファナックがパートナー企業と組んでIoTプラットフォーム「フィールドシステム」の開発を進めているように、である。GEの取り組みと比べて規模の差はあるが、独自の強みを生かせるニッチもある。まずは「強いハードウェアありき」なので、ハードの競争で絶対負けないようにする必要がある。

 その際、日本企業は「タテに早くつなぐ」という経営手法をもっと意識する必要があるだろう。「タテにつなぐ」とは、アップルのようにビジネスのレイヤー構造を最下層のハードウェアから最上層のサービスやアプリ、場合によってはAI(人工知能)を使ったクラウドサービスまでを、1社でタテにつなぐ「垂直統合」の考え方だ。

 ただし、すべてのビジネスレイヤーでシェアを取るには時間と資金が必要になる。だから、まずは特徴のある垂直統合の原型だけでもすばやくつくり、企業としての「色」を明確に打ち出すのが「タテに早くつなぐ」手法である。かつては身軽なベンチャー企業の得意技であり常套手段だったが、最近はGEをはじめ大企業もこれを意識し始めた。

 もし自社でプラットフォームを握れなかったら、勝ち馬のプラットフォームを見極めて、そこに最適化した強いハードウェアをつくっていくしかない。これがもう1つの選択肢だ。

 基本的にプラットフォームを握った企業が一番儲かる。アップルやグーグルの例を見れば明らかだ。しかし、Androidというグーグルのプラットフォームのもとで、スマートフォンというハードウェアをグローバルで一番売ったサムスンは大きく成長した。そういう道もある。(談)

キーワード:経営、企画、経営層、ものづくり、技術、人事、人材、働き方改革、イノベーション、ICT、グローバル化

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