マネジメントインタビュー

また日本の製造業は「負けパターン」を繰り返すのか GFリサーチ 泉田良輔 氏

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 この点で圧倒的な優位に立つのは、間違いなく「強い産業機器」を製造販売している企業だ。顧客に導入済みの産業機器に「自分たちが標準化したセンサー」を取り付けるだけで一定の設置ベースを獲得できる。そこからネットワークでデータを吸い上げ、メリットのある形でフィードバックすれば顧客も警戒心を抱かないだろう。最も自然なアプローチといえる。

 こう考えると、「センサーを大量に生産して売る(ばらまく)」というビジネスモデルには、極めて高いハードルがあるとわかる。システムの競争に勝つには、まず強いハードウェアを持っていることが前提条件となるのだ。「強いハードありき」という競争のルールは、民生機器のときから変わっていない。

 ちなみに、産業機器の強さは現在のシェアや設置ベースに表れる。良くも悪くも、産業機器にセンサーを取り付けるという「システムの競争の第1フェーズ」では、ほぼ勢力図が見えてしまっている。

IoTの「標準化」で一番困るのは日本企業!?

 着目すべきは「センサー」ではなく、システムの競争を志向したIoTの標準化やソリューション開発の動向である。

 まず、IoTの標準化が経営にもたらすインパクトに目を向けてほしい。センサーやデバイス、それらを使ったサービスプラットフォームの仕組みなどが標準化されると、「標準化されたデバイスや製品を大量に安くつくる」という競争に突入する。そうなれば、いつものパターンで資金調達力のある企業が圧倒的に有利になる。残念ながら日本企業は、技術に競争優位があっても、資金調達で優位性に乏しいケースが多い。

 そもそも標準化というのは「すり合わせの余地をなくす作業」という概念である。一方、日本のものづくりの強みは、極論すると「すり合わせ」だ。産業機器が標準化されたネットワークの中に取り込まれて「すり合わせ」が減り、日本企業の強みが小さくなっていくような展開となっている。こうした流れを読んで次の手を打たなければならない。

 最も重要なのは、「産業機器をネットワークにつないだ後に何をするか」という話だ。GEのように、すでに「つないだ後にどうするか」という解を持っている企業が存在するので、同じ戦いをしていかなければならない。ところが日本では、「センサーから吸い上げた情報を分析すれば、きっと何かをフィードバックできるはず」といった、具体性のない、ふわっとした議論が多いように思う。早くネットワークにつないだ後にどういうサービスを展開していくかまで考えていかないと、「おいしいところ」を先行企業にごっそり持っていかれてしまう。これが今見えている危機意識である。

 インダストリアル・インターネットの具体的なソリューションは、GEの主導で立ち上げたインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)で検討している(現在、日本企業も含め約250社が参画)。IICは標準化を目的とした団体ではないが、IoTシステムの大枠を定めた「参照アーキテクチャー」や「技術的フレームワーク」をもとに、様々なソリューションを設計・実証したり、普及させたりする活動をしている。こうした実証・普及の動向に目を光らせておく必要がある。

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