マネジメントインタビュー

ポケモンGOが示す新市場は「現実・仮想の境」 D4DR 藤元健太郎 氏

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 HADOのホームページで流している対戦の動画を見ると、たった数分のプレーでもかなりの運動量になりそうなことがわかる。藤元氏は「テクノロジーを使いながらも、やっぱり自分の身体を使って汗をかくスポーツは楽しいでしょう」と笑う。

 たとえ身体能力に大きな差があるプレーヤーとの対戦でも、テクノスポーツなら対等に渡り合えるという。「仮想空間ではハンディキャップを自由に設定できるから、おじいちゃんと20代の若者が身体能力の差を超えて同じゲームに参加できるのです。幅広い層が一緒に楽しめる点で大きな可能性があります」

そこにあるかのような驚き、8Kディスプレーの「現実感」

 このように、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を使ったゲームはいろいろ出てきているが、冒頭で述べたように、このトレンドの本質は「現実と仮想が交じり合うところに変化があり、商機があること」である。この商機はゲームだけのものではない。

 ここからは近未来の話として聞いてほしい。藤元氏は、仮想空間がリアルな臨場感を持ち始めることによって現実の一部となり、人と人のコミュニケーションにも変化をもたらす可能性がある、と予想している。「2020年頃には、HMDのような特別な仕掛けを使わなくても、日常生活の中で仮想現実の気分を味わえるのではないでしょうか。そのカギとなるのは、8Kディスプレーと高速なネットワークです」

 8Kディスプレーは、画面解像度7680×4320ピクセルという超高精細な映像を映し出せるディスプレーである。水平解像度がおよそ8000ピクセルであるため「8K」と呼ばれている。最近のノートパソコンの画面解像度はフルHD(1920×1080)が主流になっているが、8Kディスプレーは「フルHDの16倍」の解像度を実現する。

 「8Kディスプレーのすごさは、解像度が非常に高いので、映し出されたものが『もはやそこにあるもの』と感じられるところです。立体感・臨場感があり、ディスプレーの映像なのかリアルなのか、わからなくなってきます」。藤元氏は、こんな例を示す。離れた場所にいる2人が8Kディスプレーとネットワークを介して向き合い、お互いに相手の映像を見ながら一緒に食事とワインを楽しむという実験を見たことがあるという。「2人が同じ場所で食事をしているように感じました。まさに仮想現実です。接触できない点を除けば違和感はありません」。

 普通のノートパソコンでテレビ会議をするのと比べ、「画面の向こうに人がいる」というより、「すぐそこに人がいる」と感じられる現実感がコミュニケーションの質を高めているといえそうだ。

 ここで藤元氏は問う。「もし、居間の壁に大きな8Kディスプレーがあり、遠く離れた家族の居間の様子を相互に映し出したとしたらどうでしょう」と。居間同士が8Kディスプレーの窓を通してつながっているかのように思えるかもしれない。「そんな仮想現実があるとしたら、たとえ一言も話さなかったとしても、相手の背中しか見えなかったとしても、生活の気配がして『いつもすぐそこに家族がいる』という安心感が得られるのではないでしょうか。単身赴任のさみしさがやわらいだり、故郷に住む高齢の親の姿を見てほっとしたりすると思います。これほど情緒的なコミュニケーションはあるでしょうか。電話やメールとは比較になりません」

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