マネジメントインタビュー

幕末の"再建の神様"の訓え、今こそ必要 日本政策投資銀行 代表取締役社長 橋本徹氏

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――成果の出る成長戦略を考えるところで、政治家も経営者も悩んでいる。

 今のリーダーに一番足りないのは「義を先にして、利を後にする」という考え方だ。まず「正しいこと」をやる。政治であろうと企業経営であろうとそれは同じ。短期的な利益ばかりを求めがちな風潮があるが、「正しいこと」をやらなければならない。

 山田方谷の改革に対して、「民がこんなに疲弊しているときに、そんな"きれいごと"ばかりを言っていられない。みんな飢えているだから、早く何かの成果を出してほしい」と周囲からは異を唱える者がいた。しかし、彼は「餓死するかどうかは神様が決めることであって、私たちが決めることではない。自分たちがやるべきことは、正しいと思うことを徹底的にやることだ。その結果、利益が付いてくるし、民が餓死しなくて済む」と反論したという。

 正しいことが何かを見通せていない政治家や経営者は、やはり「社会が必要としていることは何か」を徹底的に考えるしかない。事の外に立って、足元の利益に目を奪われることなく、既成概念にとらわれずに、自分で考えてみないとだめだ。

 何かをクリエイトするには、自分で考えるしかない。だれかに教えてもらうとしたら、それはだれかが既にやったことだから、クリエイトしたことにはならない。エジソンは自分で考えてきたし、政治家・経営者もそうあるべきだ。

――山田方谷の偉業に対して、その手法だけでなく、人間としての方谷に、より大きな魅力を感じるファンが多いと聞く。

 確かに山田方谷の手法は鮮やかだが、彼が一番大事にしているのは哲学だ。山田方谷の考えの根底にあるのは誠意と思いやり。「至誠惻怛(しせいそくだつ)」といって、誠意を尽くして人を思いやる心の意である。

 山田方谷が至誠惻怛の考え方で改革を進めていったら、周囲の人々がその気持ちに共鳴し、彼をとことんサポートしてくれた。そして、政策を考える場面では、「事の外に立ちて、事の内に屈せず」で、大局観を持って新しいアイデアを出していった。経営者として大いに参考になる。

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