マネジメントインタビュー

幕末の"再建の神様"の訓え、今こそ必要 日本政策投資銀行 代表取締役社長 橋本徹氏

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本サイトで好評連載中の『幕末の"再建の神様" 山田方谷』は、幕末の激動期に破産寸前だった備中松山藩を見事に立て直した名財政家・山田方谷の哲学と人生を描いている。現代の企業経営者の間で山田方谷のファンは多いといわれるが、日本政策投資銀行の橋本徹社長もその一人である。経営者たちを魅了する山田方谷の訓えとその生かし方を橋本社長に聞いた。

日本政策投資銀行 代表取締役社長 橋本徹氏

日本政策投資銀行 代表取締役社長 橋本徹氏

――NHKの大河ドラマに山田方谷を取り上げてもらうための100万人署名活動に携わっているそうだが。

 山田方谷の人生と哲学を大河ドラマにすることによって、彼を全国の人々に知ってもらいたいと願っている。なぜなら、山田方谷の業績(財政再建など)は見事なものだし、哲学もすばらしいからだ。そして、彼が置かれていた状況は、今の日本の財政状況によく似ている。

 山田方谷が備中松山藩の元締役、今でいえば財務大臣となり、1849年に藩政・財政改革を始めたとき、藩の借財が10万両(現在の価値で300億円に相当※)もあった。藩の歳入はわずか2万両だったので、借金が歳入の何倍もあったわけだ。さらに当時の財政再建手法というのは、年貢を重くするとか、武士の俸給を下げるとか、要するに増税と歳出削減をしようとしたのだが、どれもうまくいかなかった。これらは現代日本の財政問題にも共通する課題である。

(※)編集部注:現在の価値に換算するときの考え方はいろいろあるが、当時の10万両を現在の600億円相当とみなす考え方もある。

 これに対して山田方谷は、大局的に解決策を考え、実行し、わずか8年で借金を完済したばかりか、10万両の余剰金も生み出した。

――なぜ、8年という短期間で大きな成果を上げられたのだろうか。

 まず、財政再建の手法が面白い。(手で一冊の本を示しながら)ここに山田方谷の「理財論」という本がある。漢文で書かれた本だから、このままでは読みづらいのだが、この理財論の中に「それ善く天下の事を制する者は、事の外に立ちて、事の内に屈せず」と書かれている。彼の有名な言葉の一つだ。

 この言葉を財政再建に当てはめると、「財政の外に立ちて、財政の内に屈せず」となる。増税や歳出削減といった財政の狭い範囲で考えるのではなくて、もっと大局観を持ち、財政の外から考えるべき、と示唆している。そのことによって全く新しいアイデアが出てくる。

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