「一流」の仕事

仕事は「楽しくやる」もの 経営コンサルタント 小宮一慶 氏

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 「お客さま第1」という言葉もよく耳にしますね。それも確かにすごく大切なことではあるのですが、それ以前に、まず、仕事そのものに熱中することが必要なのではないでしょうか。目の前のことにとにかく集中するのです。やれるだけのことを集中して精一杯やる。

 おそらく、イチロー選手だって同じでしょう。バッターボックスに立つ前は、観客を喜ばせてあげようと考えているかもしれませんが、バッターボックスに立てば、目の前に投げ込まれるボールをいかにうまく打つかということ以外、考えていないはずです。イチロー選手が目の前のボールに集中するのと同じように、この仕事に全力を尽くすと集中して考えられるかどうかが大事です。

 私も、講演をしているときは、その講演でお客さまに何を分かっていただくか、もうそれしかありません。余計なことなど何も考えていないのです。

 大企業や安定した中小企業に勤めていれば、流されるように仕事をしているだけでも食べていけるでしょう。楽なように思えるかもしれませんが、それはとてももったいないと思います。その人にとってももったいないし、会社にとっても社会にとってももったいない。

 どうせ40年以上働くのですから、適当に流されながら過ごすよりも、どっぷり仕事に浸かって自主的に働いた方が、毎日楽しいに決まっています。どっぷり浸かるなら、首までと言わず、息のできるぎりぎりの鼻のすぐ下まで浸かった方がいいのです。

自己犠牲の精神はいらない

 「仕事にどっぷり浸かる」という話をすると、「結局、自己犠牲が必要なんですね......」と思う人がいるかもしれませんが、そうではありません。自己犠牲は必要ありません。それでは長続きしないからです。自分だけが犠牲になって、周りの人や家族のため、あるいは会社のために働いても、それは長続きしないのです。

 ただし、努力することが自己犠牲だなんて思うのは間違いです。努力は自己犠牲ではありません。努力を楽しむくらいでないといけないのです。もっと言うと、人より能力を高める努力もせず、人と同じことをやっていて、人より評価されたいなんていう考え方では、一流どころか一人前にもなれません。

 イチロー選手が毎日素振りをするのは、自己犠牲の精神からでしょうか?

 きっと、そうではないでしょう。なれる最高の自分を目指して鍛錬しているだけでしょうし、練習そのものにも喜びを感じながら取り組んでいることと思います。

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