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その広報活動の効果測定、もはや牧歌的すぎる トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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【事例1】集客ROI測定の壁は、6割の「なんとなく来店客」

 1つめの事例は、年間数百万人を集客する巨大サービス企業である。きめ細かな効果測定を実施していることで定評がある。この企業は、来店客が「何に影響されて来店してくれたのか」を明らかにするために、毎日欠かさず、来店客に対する出口調査を行っている。サンプル数は明かせないが、調査サンプルとして十分な数であることを付記しておく。その調査結果を抽象化して作成し直したものが次のグラフである。

あるサービス企業における集客・来店の要因分析

あるサービス企業における集客・来店の要因分析

 店舗では様々な催事やキャンペーンを行っていて、それらが集客要因A~Fとして示されている。注目してほしいのは、グレーの「要因X」だ。これは、「特に目当てもなく、なんとなく来店した」という顧客の数を示している。

 問題なのは、要因Xの来店客が全体の60%程度(数にして数十万人)に達することだ。効果測定できない要因Xの割合が過半数を占めるところに、ROI算定の難しさと限界が見え隠れする。

【事例2】マーケティングROI算定の専門家も「困難」と断言

 世界には、さまざまな施策のマーケティングROIや、未来の売り上げシミュレーションをかなりの精度で導き出し、最適な予算配分を計画する専門会社が存在する。彼らと様々な事例について意見交換をしたとき、彼らはこう語っていた。クライアント社内に散在するありとあらゆるデータと、一般に公開されているマクロ・ミクロ経済データをかき集め、数十人の専門スタッフで分析したとしても、およそ70%の領域においては、完全に正確な数値を導き出すことは困難であると。

 ROI算定の専門家であっても極めて難しい課題なのだ。

【事例3】危機的状況に陥った企業で判明した「顧客獲得ROIの不思議」

 ある広告主において、一定期間、新規顧客獲得に関するマーケティング活動をすべてストップしなければならない事案が発生した。もちろん、その企業にとって、すべての新規顧客獲得施策を止めることなど、会社設立して以来、初めてのことだっただろう。

 その結果として、当該期間の売り上げはどうなっただろうか。普通に考えれば、すべての新規顧客獲得施策をストップしたのだから、新規顧客獲得数はゼロに近づくと思うだろう。

 しかし、ゼロとはほど遠い結果になった。なんと、平均的な新規顧客獲得予算を投じていた過去と比べて、30%減にとどまった(過去比70%に達した)のである。関係者のだれもが驚いた、完全に予想外の結果だった。

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