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顧客を「熱狂」させれば売り上げ10倍も トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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 ただし、一般消費財であっても、購入理由の30~40%が口コミによるものである場合が少なくない。まずはあなたの顧客にリサーチを行い、どの程度の熱狂顧客と推奨顧客が存在するのか、そして熱狂顧客のLTVと既存顧客の維持コスト(熱狂顧客のブランドスイッチを防止するコスト)、新規顧客の獲得コスト、推奨者による新規売上獲得推定額などを算出する必要がある。その結果をもとに、全体の戦略の中で熱狂的な推奨者を増やすことが収益にどの程度インパクトを与えるのか、冷静に判断することが大切だ。

カレールーの熱狂戦略は成立しない

 もう1つ、熱狂戦略の注意点に触れておこう。熱狂戦略を考える上で最も重要なことは、顧客を熱狂に導くときのテーマ設定である。ブランドと顧客の間で、コミュニケーションの「周波数合わせ」をする必要がある。

 もし、あなたが担当している商品がハーレー・ダビッドソンであれば、「バイク」という商品カテゴリーそのものの熱狂度が高いだけでなく、「ハーレー」というブランドの熱狂度も高いため、ブランド名を掲げて直球で勝負すればよい。ハーレー・ダビッドソンのオーナーズコミュニティーが盛り上がっていることで証明されているが、熱狂戦略がうまく機能するのである。

 しかし、あなたの担当ブランドがカレールーの場合、直球勝負ではダメだ。なぜなら、ブランド単体では期待できる熱狂度が低いからである。多くの家庭でつくられているカレーは、複数のカレールーを混ぜ、ソースやケチャップ、コンソメやガラムマサラ、はちみつやジャムなど様々な調味料を隠し味として使用し、家庭の味を出していることが少なくない。そんな状況下で、「バーモントカレーの熱狂者集まれ!」と呼びかけたところでうまくいくはずがない。

 そもそも読者の皆さんは、「こくまろ」「ジャワカレー」「ゴールデンカレー」「ディナーカレー」「とろけるカレー」「熟カレー」がどの食品メーカーの商品か答えられるだろうか。そして「このカレーでなくちゃ絶対に嫌だ!」という愛顧度をどの程度持っているだろうか。このように、ブランド単体では熱狂度が上がりにくい商品やサービスの場合、「ブランド直球」で熱狂戦略を組み立てることは難しいのである。

 ではどうしたらいいか。最も良い方法は、顧客の「関心テーマ」にまで拡張して熱狂戦略を実施することだ。個別のカレールーについては熱狂者が少ないが、「カレー」というカテゴリーにおいては熱狂者が多い。だから、「カレールー」ではなく「カレー」をテーマにして顧客とコミュニケーションするのである。

 かくいう私も大のカレー好きで、家で食べるカレーライスだけでなく、インド料理屋やタイ料理屋で食べるカレーも大好物だし、行きつけのカレーうどん屋が何件もあるし、カップヌードルはカレー味、カレーパンも好き、カレー味のお菓子も好き、居酒屋でカレー味のポテトサラダがあれば必ず注文するなど、「カレーそのもの」が好きなのだ。

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