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クラフトビールでヒット連発、その「愛される仕掛け」とは? 熱狂顧客を育んだヤッホーブルーイングの快進撃 トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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 ヤッホーの創業当時は、いわゆる「地ビールブーム」の真っただ中だった。「造ったそばから売れていく」という異常な状態だったという。しかし2000年ごろに地ビールブームが去ると、注文で鳴りやまなかった電話がまったく鳴らなくなり、あれだけ「頼むからもっと商品を送ってくれよ!」と催促されていた問屋からも「もういらないよ」と言われるようになった。地ビールブームの狂乱の中、多くの消費者が物珍しさで1回飲んだとしても、リピーターには育っていなかったのである。

 爪に火をともすような思いで資金を捻出し、テレビCMを打ってイメージを変えようとしたり、小売店に営業して商品を並べてもらう努力をしたりするも、すべては後の祭り。ここから、5年にわたる冬眠期が始まった。

 創業からこの冬眠期までの8年間は赤字続きでヤッホーは窮地に追い込まれた。しかし、2004年に転機が訪れた。長年開店休業状態だった「よなよなエール楽天市場店」をテコ入れし、ネット通販を本格化させたのだ。ネット通販業務の主担当は、当時営業担当者だった井手氏である。

 ただ、井手氏はネット通販の未経験者で右も左もわからなかったので、何かつかめれば、という思いで「楽天大学」に入学した。

 そこで、次のような講師の言葉に開眼したという。

「できないことをがんばるのではなくて、できることをやる」
「(通販サイトの)デザインと中身、どっちが大事かといったら、断然、中身なんです。井手さんはビールに対する思いや、ビールの商品知識などをお持ちなのだから、それを伝えたほうがいい。見てくれは悪くても、お店の特徴やこだわりを伝えたほうがいいんです」

 その日の夜、長野の自宅で書き上げた1通のメールマガジンが、ヤッホー復活の狼煙(のろし)となった。

顧客は「予想外の文脈価値」を買っている

 それからというもの、井手氏は楽天ネットショップでメルマガを書きまくった(当時、顧客から「店長」の愛称で呼ばれていたため、今でも井手社長のニックネームは「てんちょ」である)。たった1通のメルマガで1本3000円のビールを即日完売させるなどの成功体験も重ねていった。

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