ソーシャルメディアのその先へ

もう「顧客に聞いたニーズ」では儲からない 顧客を巻き込んだ「共創」だからこそ見えてくる未知の領域 トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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価値共創は手法ではなく思想である

 この連載では、ここ3回にわたってマーケティング業界のバズワードとうまく付き合う方法について考察してきた。前々回はマーケティングが歩んできた道を振り返り、前回はデジタルマーケティングの近未来について考察した。そして今回は、「次に取り組むべきは、これしかない」と思っている価値共創や共創マーケティングについて考えてきた。価値共創や共創マーケティングは新しいバズワードではあるが、そこには本質的な変化の波に合わせていくためのヒントが含まれていることを理解してもらいたい。

 ここまで解説してきたように、共創戦略や共創マーケティングとは、顧客参加型商品開発のことだけを指すものではない。また、顧客の要求通りに商品を開発することや、顧客に意思決定を丸投げすることでもない。ブランドの熱心な支持者と中長期的につながり、相互理解を深めることで、予期せぬ、期待を超えたイノベーションの種を発見することである。あるいは、顧客と共に、ライフスタイルをつくることでもある。

 価値共創は、何か特別なことをやるわけではない。ブランドの熱心な支持者と常時つながるコミュニティーをつくり、エンゲージし、LTVや推奨意向を高めることには、ソーシャルメディアの公式アカウント運用のノウハウが生きるだろう。エンゲージしているブランドの熱心な支持者に対して行うことは、MROCやオンライン・エスノグラフィーなど新しい手法ではあるが、実施することはマーケティングリサーチの応用である。価値共創も、商品開発だったり、顧客参加型のオンラインコミュニティーの開発・運用だったりする。決して目新しいものではない。

 価値共創は、何か新しい「手法」を取り入れることではなく、顧客の感じる価値を最大化しようとする「思想」なのである。これからの企業間競争は、製品やサービスそのものによって提供される価値から、製品やサービスが使用される瞬間の「文脈価値」に変わっていくだろう。あなたの企業において、顧客の「購入」をマーケティングの「終点」ではなく、「始点」としてとらえ直したとき、どんなことができるだろうか。ぜひ一度考えてみてほしい。

池田 紀行 (いけだ のりゆき)
トライバルメディアハウス代表取締役社長。1973年横浜市生まれ。ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、ネットマーケティング会社クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。キリンビール、P&G、トヨタ自動車などのソーシャルメディアマーケティングを支援する。『Facebookマーケティング戦略』『ソーシャルインフルエンス』『キズナのマーケティング』など著書多数。Twitter:@ikedanoriyuki、Facebook:http://www.facebook.com/ikedanoriyuki

キーワード:経営層、管理職、マーケティング、営業、経営、人材、IoT、AI

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