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優良顧客づくりは「熱狂社員づくり」から トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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 井手社長はこう話す。

 よく「ラッキーパンチだったね!」「ヤッホーさんは特殊だからね。他社で展開するのは無理でしょ」って言われるんですよ(笑)。あと、「いまは会社の規模が小さいから顧客の質も高いし、『自分だけが知っている』という特別感があるから、新しいもの好きの層に支持され、推奨も起こっている。組織も小さいから小回りも効くだろうしね。でも、ヤッホーが『誰もが知る大きなブランド』に成長したら、ほかのマスブランドと変わらない普通の会社になっちゃうんじゃないの?」とも言われます。
 でもね、僕は今までの経験から確信していることがあるんです。うちの熱狂的なファンの方々が、なぜヤッホーを愛してくれるのか。それは、「革新的な行動」「つくり手の顔が見える」「個性的な味」という3つのコアバリューがあるからなんですよ。会社や売り上げの規模が大きくなったって、この3つが変わらなければ、僕は今と同じように、熱狂的なファンを育てることができると思っています。
 僕はこれからも、愛するスタッフたちと一緒に、大いにまじめをこじらせて、真剣にふざけようと思っています。そして、ビールを通して、多くの人の人生を幸せに、そして世界を幸せにすることが、僕の人生の使命だと思っています。

 シリコンバレーには「先に成長せよ、お金は後からついてくる(Grow first, make money later)」という教訓がある。ヤッホー流に言い換えるならば「顧客を楽しませろ、お金は後からついてくる」といえるだろう。

 これ以上ないほど高度に成熟化した市場環境。あらゆる商品はコモディティー化し、熾烈な価格競争に巻き込まれている。商品の寿命は短命化。そして先進諸国では人口が減り始め、内需はもう拡大しない。新規顧客の獲得にかかるコストはさらに高くなるため、既存顧客の生涯価値(年間購入金額)と、熱狂的推奨者経由での新規顧客獲得が経営の勝負を決める日が近づいている。

 それでもまだ値引きやキャンペーンによって単年度の売上目標達成を最重要とするか、それとも3年後、5年後を見据え、「熱狂顧客」という中長期的な競争力の源泉を手に入れるか。

 その決断は、もう待ったなしである。

池田 紀行 (いけだ のりゆき)
トライバルメディアハウス代表取締役社長。1973年横浜市生まれ。ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、ネットマーケティング会社クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。キリンビール、P&G、トヨタ自動車などのソーシャルメディアマーケティングを支援する。『Facebookマーケティング戦略』『ソーシャルインフルエンス』『キズナのマーケティング』など著書多数。Twitter:@ikedanoriyuki、Facebook:http://www.facebook.com/ikedanoriyuki

キーワード:経営層、管理職、マーケティング、営業、経営、人材、IoT、AI

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