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優良顧客づくりは「熱狂社員づくり」から トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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 社長だけが参加するトップセミナーで、多くの社長が「社員がまとまらない」「自ら行動してくれない」「ナンバーツーが育たない」と愚痴をこぼすなか、講師の大西芳明氏が言った「わかりました、いっぱい出ますね。でもこれ、みなさんの鏡なんです。いま言ったことは、みなさんができていないことを映す鏡だったんですよ」という言葉に衝撃を受けた。

 「まずは自分が変わらなければ」――。

 井手社長は、「1人の力なんて限界がある。1人の力では目標を達成することなんてできない。だから個人プレーよりもチームプレーが重要だ」と考えていた。しかし、心の奥では、自分と同じように考え、自分と同じ熱量で、自分と同じようなパフォーマンスを発揮してくれるクローンを求めていたのではないかと自問した。

 社員が多くなってくると、それぞれが大切にしたいことは違ってくる。ある社員は「どこよりも個性的なビールをつくって海外に進出したい」と思い、ある社員は「地域に密着したビールメーカーでありたい」と思う。井手社長が自らの中に絶対的な「正義」を持つように、社員一人ひとりの中にも、それぞれの「正義」が存在しているのだ。井手社長の「正義」と社員の「正義」が違っていれば、その社員は「傍観者」というポジションを選んでしまうのではないか。

 そう考えた井手社長は、自身が持つ「正義」を社員に押し付けるのではなく、みんなが納得して前に進めるように、自分自身が変わらなければならないと考えた。これからのヤッホーの成長は、自分一人の100歩ではなく、100人の社員全員で1歩進むことが大切だ――。

 そこで井手社長は、チームビルディング研修を全社展開すると決意した。「手を取り合って前に進めるチームをつくらなければ!」と痛感したからである。

奇妙な研修に「もうやめて!」の声

 しかし、はりきって始めたチームビルディング研修も、そう簡単に成果は上がらなかった。第1回目は、当時20人いた社員のうち3分の1が参加したが、思いがけない苦労を背負い込むことになった。

 「チームができるまでに、必ず仲が悪くなる混乱期がある」と井手社長は話す。どんなメンバーであっても、以下の4つの段階を順に経て、単なる集まり(=グループ)からチームになるというのだ。

(1)フォーミング(形成期):なんとなく様子見をしている

(2)ストーミング(混乱期):嵐のようにもめる

(3)ノーミング(規範期):ゆるやかにまとまっていく

(4)トランスフォーミング(達成期):一致団結する組織になる

 チームビルディング研修は、上記(1)~(4)のステップを踏むため、数回に分けて行われる。研修に参加しているときは、当然、通常業務をすることはできないため、「誰か別の社員」に自分の仕事をお願いして研修に参加しなければならない。

 しかし、研修参加者たちはフラフープを上げたり下げたり(ヘリウムリングと呼ばれるゲーム形式の研修)、みんなでロープをくぐったり(これもゲーム形式の研修)、わざわざホテルをとって合宿をしたり、飲み会をしたりしている。こうした研修参加者を見る他の社員の目は冷ややかだった。

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