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人智とデジタルの結合、リクルートSUUMOの解 トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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ミサイル弾道予測モデルをマーケティングに

 SUUMOのチャレンジはこれだけではない。現在の広告予算で将来のコンバージョンを予測し、広告配信先のメディアをどう変更すれば目標に到達するのかを複数パターンでシミュレーションしている。さらに、ディスプレー広告やリスティング広告の予算について、実績データをもとにベストシナリオを自動算出し、予算配分する取り組みも行っている。

 「軍事分野においては、発射されたミサイルの弾道予測、自然科学の分野においては、気象条件の予測やシミュレーションに用いられている『状態空間モデル』というものがある。コンバージョンのような未来のKPI(重要業績指標)をシミュレーションするものと考えてほしい。しかし、予測には確率的な幅があるので、そこはマーケティング担当者が過去の経験などから着地点を見立てる。そして、プログラムが自動的に算出した予算配分を、各担当者が微修正して、最適な予算配分を決定する。従来はかなりの計算量を必要としたので1人当たり30時間程度かかっていたが、今では数秒で計算できるようになった」(成田氏)。

 アリのフェロモン伝達モデルだけでも驚いたのに、次はミサイルの弾道予測である。もちろん初耳だ。ウィキペディアに掲載されている状態空間モデルの要点と思われるものは下記の通りである。


●状態空間は、制御工学において、物理的システムを入力と出力と状態変数を使った一階連立微分方程式で表した数学的モデル。
●状態空間表現は時間領域の手法であり、これを使うと複数の入力と出力を持つシステムをコンパクトにモデル化でき、解析が容易になる。
●周波数領域では、p個の入力とq個の出力があるとき、システム全体を表すにはq×p個のラプラス変換を書かなければならない。

 中学時代、早々と数学を諦めた筆者にはチンプンカンプンである。読者の方も、「やはりデジタルマーケティングは理系の世界か」と、方程式が出てきた時点で白旗を上げてしまう方が多いのではないだろうか。しかし、成田氏の話はここで終わらなかった。

ビッグデータを推し進めても、最後は人の知恵

 「これらのシミュレーターによって、『将来のコンバージョンはこうなりそうだから、この施策に、このくらいの予算が必要』という割り付けを行うところまでは、ほぼ自動的に出せるようになった。しかし、実際のマーケットやトレンド、過去の経験などから、最終的な調整を行い、決定するのはあくまで集客施策の担当者。これは、先ほどお話したリスティングの運用における自動化と同じ。ある程度のところまでは自動化、仕組み化する。しかし、それはあくまでマーケティング担当者がきめ細かな調整や決定するために熟考する時間を確保するためのものだ」(成田氏)。

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