ソーシャルメディアのその先へ

人智とデジタルの結合、リクルートSUUMOの解 トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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 一方、デジタルマーケティングとは――インターネットマーケティングが従来のマーケティングに「プラス」されたものであるのに対して――マーケティングそのものが「デジタル化」していくものである。デジタルマーケティングに含まれるのは、ウェブサイトやネット広告だけでなく、顧客の購買データ(RFMデータ※)、顧客がソーシャルメディアに投稿している内容や興味関心データ、顧客が店舗でオーダーした注文データなど、すべてのデータを個人の顧客(個客)に結びつけ、非常に広い範囲でワン・ツー・ワン(1to1)マーケティングを実現しようとするものだ。

※RFMとはRecency, Frequency, Monetaryの頭文字をとったもの。顧客の過去の購買状況を鑑み、最適な施策を講じるための分析軸

ゴールは顧客一人ひとりに合わせた究極の最適化

 デジタルマーケティングの究極のゴールは、マスレベルでワン・ツー・ワン・マーケティングを実行することである(※)。

※正確にはワン・ツー・ワンではなく、手間と最適化のバランスを鑑み、同じようなセグメントごとにきめ細かなマーケティング最適化を行う

 そのためには、次のような情報がすべて1人のデータとしてひも付けられ、統合されていなければならない。


●いつ、誰が、どの商品を、どのくらいの頻度で、どのくらいの金額、購入しているのか(顧客の購買データ、顧客ID)
●どのウェブサイトの、どのページを、どのくらいの頻度で見ているか(ウェブサイトの閲覧履歴データ)
●どのクリエイティブの広告を、どのくらいの頻度で見て(もしくはクリックして)コンバージョンに至ったのか、至っていないのならどの段階で止まったのか(広告の閲覧履歴データ)
●ソーシャルメディアを使って、どこにチェックインし(位置データ)、Twitterではどんなアカウントをフォローし、Facebookでどんなページに「いいね!」を押し(興味関心データ)、どんな投稿をしているのか(ソーシャルデータ、ソーシャルID)

 プライバシーの問題や、すべてのIDを統合することに顧客メリットがあるかなど、検討・解決しなければならない課題は山ほどある。だが、仮にこれらが統合されれば、以下のようなことが実現できてしまう。


●自社のECサイトで、買い物かごに商品(XXX)を入れたが、面倒になって途中で手続きをやめてしまった人に、「いまならXXX(商品)が10%オフですよ!」というリターゲティング広告(※)を最適な時間に、最適な入札価格で出す。
●ペット用品を購入したことがない(購買データに履歴がないため、通常であればペット用品に興味関心があることを把握することができない)顧客だったとしても、Twitterで「うちのワンちゃんが風邪をひいたみたい。心配・・・」とツイートしていれば、「ワンちゃんの健康特集」のメールを出す。

※リターゲティング広告とは、自社ウェブサイトを訪問したことがあるユーザーに対し、再訪を促すための広告(自社ウェブサイト内で閲覧していた商品の広告など)を外部のサイトに掲出する広告手法

 このような前提があれば、広告のクリック率、メールの開封率、商品購入率は、通常に比べて高くなるだろう。デジタルマーケティングの成否は、すべてのデータ(いわゆるビッグデータ)を「誰が」という個別のIDに統合することが勝負なのだ。

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