ソーシャルメディアのその先へ

「ソーシャルメディアのその先」に激動の予感 トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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「従来の考えは通用しない」、戦略PRとソーシャルメディアが流行

 2000年代の後半になると、若年層のテレビ・新聞離れが顕著となった。「テレビCM崩壊」「ソーシャルメディアによる情報の大爆発」「消費者の購買プロセスはAIDMAからAISASへ(※)」などの言葉がメディアに溢れ、「今までのようなやり方はもはや通用しない」という空気がマーケティングの世界を覆った。

(※)AIDMA、AISASは、いずれも消費者の購買プロセスモデル。AIDMAは1920年代に提唱されたモデルで、消費者の購買プロセスをAttention(認知)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)の5段階で示した。AISASは1990年代に電通が提唱したモデル。消費者が購買プロセスの中でインターネットを活用することから、Attention(認知)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)という5つのステップを示した。

 そのときに注目されたのが、戦略PRとソーシャル・メディア・マーケティング(SMM)である。戦略PRは、2009年にブルーカレント・ジャパンの本田哲也氏が著した『戦略PR~空気で売る。世論で売る。』(アスキー・メディアワークス)が火付け役となり、瞬く間に業界に戦略PRブームが巻き起こった。広告だけでは売れない時代に、戦略PRによって市場にあらかじめ「売れる空気」を作っておくという(当時の日本では)新しい視点は、マーケティングコミュニケーション(広告・販促・PRなどを含むプロモーション活動)に悩む多くの企業マーケターの心をつかんだ。

若年層のテレビ・新聞離れによって、口コミの伝播力を使ったマーケティング手法が注目された

若年層のテレビ・新聞離れによって、口コミの伝播力を使ったマーケティング手法が注目された

 また、時を同じくしてブームになったものに、ブログ、Twitterなどを活用したバズ(Buzz)キャンペーン(ネット上で話題になるバズコンテンツを作り、それをユーザーのブログやTwitterで広く情報が伝播されることを狙う手法)がある。「広告が効かない」「消費者は口コミに影響を受ける」といった時代の文脈の中で、消費者が発する口コミの信頼性(他者への影響力)と伝播性(情報が拡散される力)に注目が集まったのである。

 様々な事例がある中で、2006年2月にSONYがBRAVIAのグローバル・ブランド・マーケティングとして展開した「Colour like. no. other」キャンペーンの第一弾として公開したBouncy Balls(数万個の色とりどりのスーパーボールがサンフランシスコの坂を転がり落ちる様を超ハイスピードカメラで収めたCM)は圧巻だった。2005年にできたばかりのYouTubeがまだそれほど普及していない時代だったが、ブログやflickr(フリッカー:画像共有サイト)、Google Videoやifilm(動画共有サイト)などを媒介に世界中でバイラル(※)され、数百万回の動画視聴と数十万人のユーザーをサイトに集客することに成功したと言われる。

(※)バイラル(Viral)とは、ウイルス(Virus)のように口コミで情報が広がること。

 強力なコンテンツを作り、初動の口コミに火を付けることに成功すれば、消費者がメディアとなり、口コミで情報を広げてくれる時代の幕開けとなった。

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