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なぜ、あの商品を自動的に買ってしまうのか トライバルメディアハウス 池田紀行氏

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思考や行動が「自動化」されるまで

 では、この自動化はどのようにして形成されるのだろう。会社に向かう通勤道、キーボードのブラインドタッチ、九九算、カラオケで歌う十八番、日本語を話すことなどは、ほぼ無意識で行われる。意識しなくても、素早く、正確に行うことができる自動化された習慣は、全て長年のトレーニングや反復の中で出来上がったものだ。

 そのため、何十回も何百回も反復したものではない新しいこと、たとえば街で外国人に道を尋ねられたときや、カラオケボックスで歌ったことがない歌を歌うときなどは、いきなりたどたどしくなってしまう。長期記憶に必要な情報を検索しに行かなければならず、ワーキングメモリーの中で、情報の高速処理を完結することができないからだ。

 買い物も同様である。自社ブランドの商品購入を自動化させるためには、消費者に何度も何度もその商品を買うという行為を反復してもらう必要がある。そして、その反復によって買われている状態を「意識させない」ことが重要だ。どの商品を買うか、買わないかを考える「判断脳」を働かせず、「習慣脳」で買ってもらうのである。

 そういう習慣脳に支配された状態になれば、消費者は自動的に買い物をするようになる。

「習慣で買われる商品」になるための3つの方法

 しかし、ひとたび問題が発生すると、習慣脳ではなく、判断脳が顔を出してしまう。商品の品質に疑問を感じたり、友人や知人から良くない口コミを聞いたりすると、判断脳が働き出し、自動化された買い物リストからその商品が外されてしまう。判断脳が支配している限り、安定的なリピート購買は発生しない。

 では、判断脳に顔を出させず、習慣脳で買い続けてもらうためには何がポイントになるのだろうか。習慣で買われる商品になるための3つのポイントを整理してみよう。

(1)満足向上ではなく不満足をなくす

 多くのマーケティング担当者は、自社ブランドの指名買いやリピート購買を促すために顧客満足が重要だと考える。しかし、習慣で買ってもらうために大切なのは、前述したように「判断脳に顔を出させず、習慣脳で買い続けてもらうこと」だ。つまり、顧客満足を向上させるよりも、顧客不満足をゼロにすることのほうが大切になる。

 いつも自社のブランドを買ってくれている顧客の多くは、満足しているから買い続けているのではなく、特段不満がないから買い続けてくれている。「何か違うな」「最近、品質が落ちたかも」という違和感や不満足は、判断脳を呼び起こす。そして、すぐさま自動化された買い物リストから除外してしまうだろう。

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