「攻めのガバナンス」実現への道

優等生・東芝「魂なき企業統治」の末路 エゴンゼンダー代表取締役社長 佃 秀昭氏

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  6月に導入された「コーポレート・ガバナンス・コード」は、上場企業に社外取締役を最低2人以上確保することを要請するなど、日本企業に「攻めのガバナンス」を促す内容だ。本連載では、ガバナンス・コード導入を契機に、日本企業が「攻めのガバナンス」をいかに実現できるのかを論じる。今回と次回は、連日大きく報道されている東芝問題を取り上げる。先進的な企業統治とされた同社での不適切会計問題は衝撃的だ。

創業以来最大の危機

記者会見する東芝の田中社長(右)と室町会長(2015年7月21日)

記者会見する東芝の田中社長(右)と室町会長(2015年7月21日)

 7月21日に東芝の不適切会計問題を巡る第三者委員会調査報告書が公表され、歴代3社長をはじめ、取締役12人のうち8人が辞任するという異例の事態となった。調査報告書は不適切会計を巡る組織的不正を指摘し、その原因として東芝の企業統治が機能していなかったとしている。

 田中社長は6月の株主総会の場で、今回の事態を「創業以来最大の危機」と表現していた。そして、21日の辞任会見で「140年の歴史で最大のブランドイメージ毀損」と自らが関与したとされる不適切会計の問題を謝罪した。

 実は2014年6月30日付日経産業新聞「リーダーの肖像」が、社長就任1年後の田中久雄社長を取り上げている。冒頭に興味深いコメントがある。

 「東芝は外部から『嘘つき』と思われているのではないか」。2013年6月。東芝社長に就任した田中久雄(63)は自らに一つの使命を課した。経営計画を必ず達成し、「投資家の信頼を取り戻す」。計画の未達を繰り返した従来経営との決別。主力とする重電部門で世界的再編が動き出すなか、有言実行のマニフェスト経営で荒波に立ち向かう。

 有言実行のマニフェスト経営。今回の第三者委員会調査報告書は、当期利益至上主義と目標必達のプレッシャーを不適切会計の直接的な原因の1つとして指摘している。田中社長は投資家の信頼を取り戻すための経営を大きく取り違えたとしか言いようがない。

 そして「企業統治の優等生」とされてきた東芝において、内部統制や企業統治が機能不全に陥ったことの衝撃は極めて大きい。東芝は企業統治の体裁は整えても、魂を込めていなかった。そのことを世間は全くといってよいほど見抜けなかった。

企業統治の優等生

 東芝は機関設計として指名委員会等設置会社を採用している。日本企業では数十社しか採用していない。監査役会設置会社と比較して、監督機能の観点で、より先進的な機関設計であるとされる。

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