「攻めのガバナンス」実現への道

「大塚家具騒動」が示す日本流ガバナンスの限界 エゴンゼンダー代表取締役社長 佃 秀昭氏

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 5月1日に「会社法の一部を改正する法律」が施行された。また6月1日にはいよいよ「日本版コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」が導入される。上場企業に最低2人以上の社外取締役を確保することを要請するなど、日本企業に「攻めのガバナンス」を促す内容だ。本連載では、コーポレートガバナンス・コード導入を契機に、日本企業が「攻めのガバナンス」を実現するための方法論を論じていく。まずは我々の記憶に新しい「大塚家具騒動」を取り上げ、日本企業のガバナンスを考える。

格好の題材となった「大塚家具」

 大塚家具の経営権を巡る騒動が、なぜこれほど世間の注目を集めたのか。まずは、ガバナンスを巡る日本の状況と大塚家具騒動ををごく簡単に振り返ってみる。

 大塚家具騒動が起きたとき、日本版コーポレートガバナンス・コードの導入が既に決定していた。一足先に「スチュワードシップ・コード」も導入済みであった。スチュワードシップ・コードは機関投資家に対して、受益者利益を最大化するような議決権行使を促すものだ。

 日本企業の取締役会は今に至るまで「執行に対する形式的追認の場」に過ぎなかった。しかしガバナンス・コード導入が契機となり、取締役会のあり方が見直され始めた。また、取締役会の実効性を高めるべく、形式でなく実質の取締役改革が議論され始めていた。

 そのような状況の中で、大塚勝久氏と大塚久美子社長が経営権を巡り、2015年3月27日の株主総会に向けて一騎打ちをした。またそれに至る経緯として、取締役会において久美子社長の解任劇(2014年7月)と復帰劇(2015年1月)もあった。

 大塚家具の取締役会では問題の決着が付かず、株主を巻き込みつつ株主総会が二者択一という形で経営の方向性を決めた。騒動の渦中、久美子社長は再三にわたり「上場企業としてのガバナンスのあるべき姿」を訴えていた。

 そして機関投資家や法人株主の多くは、ガバナンスの確立を訴える大塚久美子社長を選んだ。久美子社長はなぜガバナンスの確立を再三訴えたのか? 株主はなぜ会社側提案に賛成したのか? 大塚家具騒動は、ガバナンスとは何かを我々に問うた。

 大塚家具騒動がこれほど注目を浴びたのは、日本企業にとって重要な論点を、またとないタイミングで提供してくれたからだというのが筆者の理解である。本稿では、筆者が重要と考えた4つのポイントを論じたい。

機関投資家が果たす役割と限界

 まず、第1のポイントは「機関投資家が果たす役割と限界」である。大塚家具の株主は「どちらを社長とするのか?」という問いに対する回答を株主総会の場で迫られた。異例の委任状争奪戦となり、態度表明を迫られた機関投資家は正直なところ困ったであろう。

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