儲かる一言 損する一言

お客さんを驚かせる一言 田中公認会計士事務所 所長 田中靖浩

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商売に活かす行動経済学7つのキーワード

◆ フレーミング効果

 フレーミング効果は「額縁効果」とも言えるものです。ひとつの事実を表現するには複数の方法があり、見せ方ひとつで受け手の印象が変わります。

 商品やサービス内容の表現、あるいは金額の表示(色・大きさ・配列など)を工夫するだけで顧客の心に訴えることができます。

◆ 損失回避

 1万円を得る喜びより、1万円を失う悲しみのほうが大きい。よってその悲しみ・苦痛を避けようとするのが損失回避の心理であり、行動です。

 たとえば「下取りセール」は金銭的メリットより、捨てられない古着が処分できる「苦痛からの解放」の効果をもつわけです。この損失回避を商売に活かすには、「メリットを語るより、顧客のデメリットを取り除く」姿勢が大切です。

◆ 保有効果

 人は自分の持ち物に愛着を持ち、過去の行動を肯定したい心理を抱きます。これが保有効果です。よって下取りを行う場合、「大事に使われていますね」と一声かけるのはとても効果的。反対に下取りするモノを雑に扱われたり、過去を否定されたりする一言には反感を持ちます。

◆ アンカリング効果

 これは対比効果、あるいはコントラスト効果とも表現できます。ひとつではなく、複数の商品やサービスを提示することで顧客はそれらを比べることができます。これによって顧客は選択しやすくなるので、商売では上手な比較メニューの提示を工夫しなければなりません。

◆ 返報性

 貨幣が登場する以前に行われていた物々交換時代の名残なのか、私たちは「もらいっぱなし」を気持ち悪く感じます。お中元やお歳暮にお返しをするように、先に受けた親切に対して「お返し」をしたくなるのが返報性の心理。商売では、お客さんに対してなんらかの先出しをすると効果がありそうです。

◆ プライミング効果

 プライミングとは「前もって教える」という意味です。私たちはあらゆる物事をお決まりのパターンに従って判断しがちです。「この店は信用できる」という先入観をつくればファンが増えます。あるいは一般的な先入観をあえて裏切る商品やサービスを提供することで意外性を演出することができます。

◆ サンクコスト・バイアス

 会計でもよく用いられるサンクコストは埋没原価の意味です。過去のコストや頑張りに引きずられて正しい意思決定ができないのがサンクコスト・バイアス。

 「もったいない」心理が正しい判断を邪魔するのです。赤字事業が中止できないのはこのサンクコスト・バイアスによって説明ができそうです。これがあると奇襲が繰り出しにくいので注意が必要です。

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