儲かる一言 損する一言

オススメを気持ちよく選んでもらう一言 田中公認会計士事務所 所長 田中靖浩

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「たった一言」の奇襲でピンチを乗り切ろう!

 その小児科はさびれた裏通りにあり、とくに目立つ存在ではありません。

 しかし待合室はいつも、入りきらないほどの人であふれています。

「なぜ、これほど人気があるのだろう?」。私にとってその人気はずっと謎でした。

 やっと謎が解けたのは、わが子が高熱を出したときのこと。

 わが子と妻に付き添って訪れたときに気が付きました。

 行列の秘密は先生の「たった一言」にあったのです。

 ふつうの小児科医はまず病状を聞いて熱を測り、そのあとすぐに注射や投薬といった治療に入ります。しかし、その「行列のできる小児科医」はちがいました。

 お母さんから子どもの病状を「ふむふむ」と聞いた上で、「大丈夫、すぐ治ります。お母さんが早く連れてきたおかげですよ」と、「母親の気持ちに寄り添う一言」をかけるのです。

 わが子を心配する母親に向け、その不安を取り除いた上で「あなたのおかげですよ」と意表を突くねぎらいの一言。

 この予期せぬ言葉に、母親は心をわしづかみにされてしまうのでありました。

顧客の心にサプライズを起こす奇襲戦

 戦いに正攻法と奇襲があるのと同じく、商売にも正攻法と奇襲があります。商売では、「良いモノをより安く」を目指すのがこれまでの正攻法。そこでは良いモノやサービスを揃えつつ、それをできるだけ低価格で提供します。

 しかし、正攻法は結局のところ「値下げ消耗戦」を招いて儲けを減らし、組織の元気・活力をじわじわと奪っていることが多いようです。

 小児科医の「寄り添う一言」は、医者としての腕の良さや設備の充実といった正攻法ではなく、母親の心にサプライズを起こす奇襲でした。

 人口減少で経済が縮むいま、私はそんなビジネス奇襲を提案したいと思います。ビジネス奇襲は顧客の意表を突く「たった一言」によって「良い感動でより高く」を目指します。

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