「ダラダラ癖」から抜け出すための10の法則

仕事が格段にはかどる「優先順位」のつけ方 メリル・E・ダグラス & ドナ・N・ダグラス

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「1日3時間」の仕事で「9時間」分の成果をあげた男

 時間の配分を改め、それをもっと生かして使おうと努力する時には、パレートの法則を思いだしてみることである。19世紀イタリアの経済学者であり社会学者であったパレートは、あらゆる事柄の構成要素の中で、重大な要素が占める割合は小さいことを発見している。長年の間にこの概念は、いわゆる「80対20の法則」へと発展した。「価値の80%は全体の構成要素の20%の部分から生まれ、一方、残りの20%の価値は全体の構成要素の80%の部分から生まれる」

 たとえば、全販売高の80%は全顧客数の20%によってもたらされ、総利益の80%は全製品の20%から生じ、問題の80%は従業員の20%から生じるという具合である。この法則を適用すると、達成する全成果の80%は、全行動の20%にかかっているといってもよいだろう。

 さて、自分の大事な20%の活動は何だろうか?

 この「80対20の法則」はまた、「重要」対「緊急」の分類法と関連づけることができる。分類2の事項(重要だが緊急でない)は、たぶん成果の80%に貢献する20%に相当する。

 つい最近の例を引けば、私の友人の1人が心臓発作を起こして医者から6カ月の自宅療養を命じられた。その期間が過ぎると、1日に3時間仕事をすることを許された。ところが、気がついてみると、彼はその3時間の間に、以前には8、9時間を費やして達成していたのと同じだけの成果をあげていたのである。

 どうしてそんなことができたのだろうか? 実は、何をするにしても1日3時間しか仕事ができないということがわかっていたので、彼はその時間を最も重要なことにだけ使うことにしたのである。コツは、重要でないことにかけていた時間を削り、重要なことをもっとたくさんやるようにする、というだけのことである。

 ある証券会社では、その教訓を生かして収益をあげた。その会社では、顧客の記録を丹念に調べて、総収入の79%が顧客の13%から生じていることを知った。そこで、価値の高い顧客により多くの時間をあてるように仕事の再調整をしたところ、取引の総量が急速に増えたのである。

 その13%の顧客は、どうやらほかの証券会社も利用していたようである。だから、その会社が、その重要な顧客により多くの時間を使うようにしたために、よその証券会社に依頼していた分が回ってくるようになり、取引量が飛躍的に増え、収益も急増していったのである。

 「80対20の法則」に基づいて物事を分析してみれば、自分が手がけていることの80%は価値の低いものであることにすぐ気づくはずである。時間の80%をそのような行動に使っているとしたら、それは賢く時間を管理してはいないということである。時間をほんとうに大事なことに集中することを知らなければならない。

メリル・E・ダグラス&ドナ・N・ダグラス 著、川勝久 訳 『「ダラダラ癖」から抜け出すための10の法則』(日本経済新聞出版社、2017年)第4章「仕事が格段にはかどる「優先順位」のつけ方」から
メリル・E・ダグラス(Merrill E. Douglass)
心理学博士。タイム・マネジメント・センター所長として時間の生産性、仕事の能率化について40年以上にわたり研究してきた。その成果は高く評価されており、多くの企業で実践されている。本書は著者のライフワークの真髄をまとめたものであり、1980年の刊行以来、現在も読み継がれているロングセラーである。現在はエンブリー・リドル航空大学准教授を務めている。


ドナ・N・ダグラス(Donna N. Douglass)
タイム・マネジメント・センター社長。
川勝 久(かわかつ ひさし)
1931年生まれ。1953年一橋大学社会学科卒業。東京放送(TBS)勤務時代から翻訳に携わり、ハーブ・コーエン『FBI アカデミーで教える心理交渉術』、ケネス・ブランチャード「1分間マネジャー」シリーズなど訳書多数。

キーワード:プレーヤー、人事、人材、研修、管理職、働き方改革

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