不動産格差

2022年問題への対応遅れが空き家増やす 不動産コンサルタント、株式会社さくら事務所 会長 長嶋 修氏

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2022年には生産緑地制度の期限が到来

 「2022年問題」をご存じでしょうか?

 全国の市街地には96万戸、東京都には26万戸分もの住宅用地が眠っており、これらの多くが東京オリンピック後の2022年、一斉に市場放出される可能性があります。その土地に新築マンションや一戸建てが建設されれば、すでに全国で820万戸ある空き家が大幅に増大する可能性が高くなっています。これを住宅市場の「2022年問題」と呼びます。

 1974年公布の生産緑地法では、市街化区域内の農地の宅地化を促す目的で、大都市圏の一部自治体で、農地の「宅地並み課税」が行われ、これにより都市近郊農地の大半が宅地化されることになりました。当時の住宅不足解消が目的でした。

 一方で1992年の同法改正では、一部自治体が指定した土地については、固定資産税が農地並みに軽減され、相続税の納税猶予が受けられる「生産緑地制度」が適用されました。この場合、生産緑地の所有者は建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められました。生産緑地は原則として住宅が建設できる市街化区域内にあります。

 生産緑地制度が適用されたのは、東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市、その他整備法に規定する一部地域など。「2013年都市計画現況調査」(国土交通省)によれば、2013年3月時点の生産緑地は全国で1万3859ヘクタール(約4192万坪)、東京都に3388ヘクタール(1024万坪)、23区内には451ヘクタール(136万坪)存在します。

 同法の適用は1992年で、期限は30年後の2022年です。この期限を迎えたとき、または所有者が病気などで農業に従事できなくなったり、死亡したりした場合、所有者は市区町村の農業委員会に土地の買い取り申請を行うことができます。

 しかし、市区町村が買い取らなかったり、生産緑地として買う人がいない場合には、この生産緑地指定は解除されます。これまでの実績では、予算不足などの理由から自治体による買い取りの実績はほとんどありません。

 そうなると固定資産税が跳ね上がるため、所有者は土地を維持できず、売りに出すしかなくなります。こうしたまとまった土地を仕入れるメインプレイヤーは、建売住宅建設業者、立地が良ければマンションデベロッパーになります。最も可能性が高いのは、固定資産税や相続税評価額が下がる思惑から、賃貸住宅の建設が進むことです。事実、多くのアパート建設会社は、2022年の生産緑地指定解除を絶好の商機として狙っています。

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