不動産格差

不動産の9割が下がっていく 不動産コンサルタント、株式会社さくら事務所 会長 長嶋 修氏

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 さらに南関東圏(東京・埼玉・神奈川・千葉)で価格を上げたのはマンションのみで、一戸建てや一戸建て用の土地は、横ばいないしは下落トレンドにありました(図表4)。東京以外の都市部、地方では、価格が上昇した一戸建ては中心部のみ、あるいは、特別なニーズをつかむことができたほんの一部の物件でした。ただし新築マンションに比べて相対的に割安感のある新築一戸建てには、2016年後半以降「見直し買い」の動きが見られます。

図表4 不動産価格指数(住宅/南関東)の推移

2020年東京五輪後の不動産は?

 「トーキョー!」2013年9月、2020年のオリンピック・パラリンピック開催が東京に決まった瞬間から、住宅市場の空気は一変しました。

 「とりあえずオリンピックまで不動産価格は上がりそう。でもその地域はオリンピック開催の東京湾岸地区・都心部を中心に限定的だろう。地方都市には多少波及するかもしれない。オリンピック後は需給悪化懸念もあるため、もう少し様子を見ないとわからない」

 アベノミクスとオリンピックによって不動産価格がどうなるのかについて、当時はこのような見方がおよその業界コンセンサスであり、世間一般の見方とあまり変わりませんでした。

 東京オリンピックは不動産市場にどの程度の影響を与えるのでしょうか? オリンピックの経済波及効果予測は、都による「3兆円」から、大和証券による「150兆円」までさまざまです。晴海に建設予定の選手村は1万7000人規模、大会終了後は首都圏最大級の住宅プロジェクトとして高層マンション街に生まれ変わる予定です。

 98年の長野オリンピックの際に造られた選手村はオリンピック後、100戸程度のマンションとして売りに出されました。5000人以上の来場者に対し、1次募集時点は36戸、2次募集で値下げしましたが、販売数は全部で85戸と、完売できず苦戦しました。

 しかし、今回はなんといっても東京都心部が舞台です。五輪を見据え、選手村周辺の江東区・豊洲などの地域で大規模なマンション再開発プロジェクトが進行しています。現在把握できるだけでも1万戸以上と目白押しです。一時的な供給過剰の懸念もあるものの、関係者は「交通網インフラや商業施設の整備が進めば街の魅力が高まる」と強気です。

 東京・中央区は、オリンピック開催が決まる7カ月前、10年後に中央区の人口が16%増加し、14万9200人に達するという報告書をまとめました。その報告書では幼稚園や小学校の増改築が必要としていましたが、増改築どころか新設まで含め、再検討を余儀なくされています。

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