平均成約価格は2015年11月の6328万円をピークに下落基調で、2016年12月は5078万円、契約率はほとんどの月で、好不調の目安とされる70%を切りました(図表2)。一部物件では水面下における価格交渉、つまり値下げ販売も行われています。
図表2 新築マンション価格の推移
(平均成約価格、首都圏・近畿圏、2014年1月~2017年1月)
こうした不調の原因は、リーマン・ショック前のピークだった2007年(4691万円)を大きく上回っている「価格」とみられます。地価上昇と資材、人件費の高騰に伴う建築コストを吸収しながら価格上昇を続けてきた新築マンション市場は、完全に潮目が変わりました。
とはいえ、現在の新築マンション市場は、事業体力のある大手マンションデベロッパーの寡占が進み、ただちに投げ売りや大々的な値引き販売を行うことはないでしょう。リーマン・ショック時のような市場のクラッシュは起きず、しばらくはやや下落しながら小康状態を保つといったところです。一部では「バブルか」とささやかれた新築マンション市場は、決してバブルと言えませんし、崩壊する懸念もほぼないとみていいでしょう。
ところで2012年の政権交代以降、不動産価格の「すべて」が上昇したわけではありません。上昇トレンドに乗って大きな恩恵を受けた不動産は極めて限定的でした。東京都心部なら前述の通り、中央・千代田・港区の都心3区に新宿・渋谷区を加えた5区くらいまでは50%程度上昇しましたが、東京全体ではプラス40%程度、神奈川・埼玉・千葉に至ってはせいぜい20%程度の上昇です(図表3)。
図表3 首都圏中古マンション単価(1m2当たり)の推移