不動産格差

不動産の9割が下がっていく 不動産コンサルタント、株式会社さくら事務所 会長 長嶋 修氏

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 そして2015年9月、2回目のいわゆる「チャイナショック」により、株価の潮目に変化が生じたのと同様に、都心中古マンション価格も頭打ちとなり、新規売り出し物件の増加に反して、成約数、成約価格ともに停滞感が出ました。

 この時点で株価と都心中古マンション価格との乖離が生じ、マンション価格も停滞から下落へ転じるのかと思われたところ、「トランプ相場」が始まりました。

 株価は1万7000円~1万8000円のボックス圏を突き抜けました。株価が1万9000円台なら現在の中古マンション価格は理解できる水準であり、株価が2万2000円、2万3000円のテクニカルラインに乗るようなら、都心中古マンション価格は上振れする余地が出てきます。

 ところで、なぜ日経平均と都心マンション価格は連動するのでしょうか。その理由は「株高によって景気見通しに対する安心感が醸成される」「株を保有している親が、利益を確定して子供にマンション購入資金を贈与しやすくなる」「株の売却によって頭金を捻出できる」など、さまざまあります。

 都心3区中古マンション価格を占うには、株価動向に加え、成約単価、このところ積み上がってきた在庫数の推移を見ていればいいでしょう。レインズ(REINS、東日本不動産流通機構)はこうしたデータを毎月公表しています。

 株価の動きはまず、都心の中古マンション、そして外側の地域へ波及していきます。東京については、まず都心3区→5区→城南地区→城西地区→城東・城北地区といった流れになります。

 首都圏ならば、東京→神奈川→埼玉→千葉の順で波及します。どちらも「の」の字を描くような時計回りです。名古屋・大阪をはじめ、地方都市への波及は1、2年程度後になります。

 一方、新築マンションは用地仕入れから販売活動までにタイムラグがあることや、中古マンションのような価格調整を適宜行わないこともあり、中古マンションほど敏感ではありません。

 2012年の政権交代以降は首都圏の新築マンション市場も好調を取り戻し、中古マンションより早いペースで価格、契約率の上昇が始まりました。

 価格上昇の大きな要因にはマンション用地の上昇に加え、RC(鉄筋コンクリート)造の建築コスト上昇(2013年前半、18万円/平方メートル前後→2016年11月、23.2万円/平方メートルへ28%上昇)があります。2013年中頃の4600万円程度から2015年11月の6328万円へと40%近く上昇しました。

 しかし、こうしたトレンドも2015年中盤には息切れし、2016年に入ると一段と低迷します。不動産経済研究所(東京・新宿区)によれば、2016年の首都圏新築マンション発売戸数は3万5772戸と、前年比4677戸(11.6%)の減少。ピークだった9万5635戸(2000年)の40%以下の水準まで落ち込み、契約できたのは2万9873戸と、3万戸を下回る結果となりました。

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