不動産格差

2022年、住宅バブル崩壊でマイナス価格も 不動産コンサルタント、株式会社さくら事務所 会長 長嶋 修氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

世界でも住宅価格が大きく上昇するのはフィリピンのみ

 こうした現象は日本だけではありません。この予測ではフィリピンの住宅価格が大きく上昇、中国・韓国・タイの下落率は日本より大きく、香港・ドイツは日本と同程度でそれぞれマイナス47%・44%となります。

 米国ハーバード大学のニコラス・グレゴリー・マンキュー教授らは、80年代後半、人口減少や高齢化の影響によって、「米国の住宅価格は今後約25年間で47%下落する」という研究結果を発表しました。しかし、米国は移民受け入れ策を採用するなどしてその通りにはなりませんでした。

図表3 2010年を基準とした場合の2050年の人口増減状態

 清水教授らは、解決策として「労働力としての移民受け入れ」「定年および年金支給年齢引き上げ」「女性の社会進出促進」「出生率改善」の4点をあげていますが、どれもたやすくできることではありません。

 図表3の日本地図をご覧ください。

 青く塗られた地点は、2050年に人口が50%以上減少するところです。中には無居住化するところもあります。黄色の地点は0以上50%未満の減少。わずかに見える赤い地点が増加する地点です。

 要は全国ほとんどの地点で人口が劇的に減少し、同時に高齢化が進みます。人口減少と高齢化は、地域の不動産価値を下げる大きな要因となります。これだけの人口減少が起こると、いくら安くしても売れない不動産がたくさん出てくるでしょう。今から30数年かけて、このトレンドが続いていきます。

 これから住宅を購入しようという人は、35年のローンが終わるころには、日本の人口が3300万人以上減少すること、すなわち首都圏人口あるいはカナダ全土の人口がごそっといなくなること、さらには65歳以上の人口が全体の40%程度になるということを踏まえておく必要があります。

 現在は、相当程度人口の集中が進み、都心部・都市部では実感がないのかもしれませんが、人口・世帯数が減少していく中で、国内不動産の価値が維持されることはあり得ません。都市部でも駅から遠い、生活利便性に欠けるなどの難点がある場合は難しくなります。

 高度経済成長期に分譲された都市郊外のベッドタウンは、一部を除き大半が長期的に衰退していきます。こうした事態を踏まえ、国は「コンパクトシティ」の概念を打ち出し、「集まって住む」政策を推し進めようとしています。都心部や都市部、地方では特定の場所に人口集積を行い、その密度を維持し、高めようという政策です。

 人口減少、少子高齢化新時代に向け、本格的な方針転換を進めている自治体がある一方で、構想段階の地域、全く検討されていない問題意識の低い地域が存在します。今後はどの地域にマイホームを買うべきなのか、よく見極める必要があります。

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。