しくじる会社の法則

ネット発信情報の「ツッコミ」どころ ジャーナリスト 高嶋 健夫氏

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「企業市民」として地域社会に溶け込んでいるか

 

地元の公共機関へのリンク

 最後の(5)は、地域コミュニティーの一員である「企業市民」として、その会社がどれくらい深く地元の人々と交流し、地域社会に溶け込んでいるかを探る手がかり、と私が考えているチェックポイントです。

 多くの場合はトップページを眺めればいいだけなので、調べるのは簡単です。そこに地元の観光協会、温泉組合、世界遺産などの観光施設や人気スポットのリンク先が、バナー付きで掲載されているかどうか、を確認するだけです。

 これがあると、私の好感度は確実にアップします。力を入れて取り組んでいるCSR(企業の社会的責任)活動の連携先の公益法人やNPO法人、学校・教育機関などへのリンクが張ってあったら、よりいっそう好印象を持つことになるでしょう。

 地方に立地する会社にとって、「地元に溶け込んでいる」ことは文字通りの経営基盤になりますから、これはとても大事なポイントです。

 東京や大阪の会社であっても、工場の進出先の地域とか、創業者の出身地とか、ゆかりのある地域の関連施設や公共機関などにリンクを張ってあげれば、その地域の人たちは喜んでくれるでしょうし、社会や顧客に企業の経営姿勢や「地域愛」を示す高いパブリシティー効果が期待できると思います。“ウェブサイト版ふるさと納税”みたいなものです。

 地域経済の活性化策の1つとして、「地産・地消」が流行語になった当時、私は商品開発セミナーなどの地方での講演で、よくこんなお話をいたしました。

 「皆さんはよく『地産・地消』を口にされますが、それを実現するためにはどんなことが必要でしょうか? 実はこの言葉は正確ではありません。本当は『地産』と『地消』の間に、もう1つ言葉が入ります。それは何だと思いますか?」

 答えは「地認」です。「地産・地認・地消」が正しい言い方である、と主張したのです。いくら地元で採れた生鮮品やそれを地元で加工した特産品であっても、地元の人たちに消費してもらうには、何よりもまず、地元で「認知」してもらわなければなりません。知らないのに、買ってくれるはずがありません。

 こうしたセミナーでは、度々、「この新商品を、当地の『地産・地消』の新しい名産品として、東京や大阪の百貨店さんにも売り込みたい」と鼻息も荒く語る社長さんにお会いしたりもしましたが、私はわざと意地悪く「こちらではさぞや人気なんでしょうね」と切り返すことがありました。すると、大抵の場合は「それはまだ、これからの話でして......」。地元の人も知らない、そんなまがい物の「地産・地消」の名産品なんて、誰が振り向くもんですか。

 会社もそれと同じこと。「誰も知らない地元の会社」では情けない限りです。

高嶋健夫著 『しくじる会社の法則』(日本経済新聞出版社、2017年)第7章「ネット情報のツッコミどころ」から
高嶋 健夫(たかしま たけお)
ジャーナリスト。

1956年生まれ。79年早稲田大学卒業後、日本経済新聞社に入社。編集局産業部、日経ベンチャー編集部、日経文庫編集長を経てフリーに。中小・ベンチャー企業経営者、商品開発・マーケティング、バリアフリー、ユニバーサルデザイン関連の記事、著作を多数執筆。主な著書に『障害者が輝く組織』、『R60マーケティング』(共著)、『「非常識」を「常識」にして成功する経営』(構成)などがある。

キーワード:経営、企画、経理、経営層、管理職、人事、働き方改革、人材

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