しくじる会社の法則

ネット発信情報の「ツッコミ」どころ ジャーナリスト 高嶋 健夫氏

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自前の直販サイト

 製造業の場合の話ですが、今どき、自前の直販サイトを開設していないメーカーには、業種や会社の規模に関係なく、私は「△」を付けます。土地代も家賃もかからずに新しい販売チャネルを持てるのに、なぜやらないのでしょうか。

 すると、真顔でこんな心配をされる社長さんがいらっしゃいます。

 「そんなことしたら、大変ですよ。お得意先の小売店さんのご商売を、製造元である私たちが妨害することになっちゃうじゃないですか」

 確かに直販サイトをつくった途端にお得意先の売り上げが1割、2割も落ちたなんて事態になったとしたら、それは掟破りの大問題です。ですが、現実問題として、本当にそんなことが起きるでしょうか。

 中小零細メーカーの場合は特に、実際にはネット経由で届く注文などたかがしれています。ポツリポツリ程度で、とても間尺に合わない場合の方が圧倒的に多いでしょう。

 それでもやるべきだと私は考えます。オープンした時から、実質、「開店休業」状態であってもいいのです。注文が入れば、ほんのわずかでも売り上げは増えます。しかも重要なことは、ネット経由で入って来るのは「なかなかお店で見つからない」「近所に売っている店がない」といった、欲しくても買えなかった新規のお客様からの注文になる点です。要するに、潜在需要の掘り起こしにつながる、ということです。

 さらに重要なのは、そうした新規客から「消費者の生の声」を聞く機会ができることです。それまで気づかなかった“目からウロコ”の指摘を受けたり、新鮮な意見や新しい消費トレンドに触れることができたり、“レア&レア”な市場の情報をライブ感を持って実感できる絶好の機会になるはずです。そこには、今後の製品開発に役立ついろいろなヒントが埋もれているに違いありません。

 ここが自前の直販サイトを持つことの最大の狙いです。インターネットのおかげで、自分の世界に閉じこもりがちな小さいメーカーでも、簡単に「社会に向かって出窓を開く」ことができるようになったのですから、やらない手はないはずです。

 自力でやる余裕がない、あるいは、それでもやっぱり小売店さんの目が気になるという場合は、有力なお得意先に協力してもらって、楽天市場やアマゾンなどのeマーケットプレイスに出店する方法もあります。検討する価値は十分にあると思います。

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