しくじる会社の法則

バックヤードに会社の「素顔」が見える ジャーナリスト 高嶋 健夫氏

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 店内の清潔度、店員さんの接客態度はもとより、商品の出し方・渡し方・片付け方(セルフ方式も含む)、さらには提供する商品メニューまでが違っている場合もあって、ビックリすることさえあります。目下、経営立て直し中の某大手ファストフードチェーンなどはその最たるものでしょう。業績好調が伝えられていた時分から、私は客としてそのチェーンオペレーションのデタラメぶりにあきれ、「遠からず急降下するだろう」とにらんでいました。いつも不愉快な思いをさせられるので、その頃から行くのをやめました。

成績優秀な模範店にだまされてはいけない

 さて問題は、そうした“店舗間格差”のレベルです。それが客として許容できる範囲だったら、まだいいでしょう。FCによっては一定の範囲内なら、あえてオーナー(加盟店)さんや店長さんの裁量(創意工夫)の余地を残すオペレーション戦略を採用しているところもありますから。ですが、お客の目線で「あまりにもバラバラだな」と感じるようなら、限りなく「×」に近い「△」マークです。

 FC本部の元々のオペレーションシステムに欠陥があるか、地域担当のスーパーバイザーの資質や指導方法に問題があるか、オーナーさんや店長さんにやる気がないのか。どこかに見過ごせない課題が潜んでいるということです。これは、まだノウハウの蓄積が不足している新興チェーンに見かけがちな傾向と言えます。

 もしあなたが、脱サラをして、どこかのFCに加盟してFC店のオーナー経営者になろうと検討しているのなら、この「3店舗以上の比較」はFC選びに失敗しないための必須の調査項目です。

 加盟店募集中のFC本部の事業説明会に行くと、本部での概要説明のあとで、希望者は必ずどこかのお店に案内してくれます。ですが、見学させてくれるのは、成績優秀な模範店か、オープンしたての新規加盟店のどちらか、と相場は決まっています。これでは平均的レベルの店の姿も、その裏にあるFC本部の本当の実力もわかりません。

 そこで、1人のお客として複数の店舗に行ってみるのです。店に行ったら、ためらうことなく、オーナーさんをつかまえて、「自分も加盟を検討している」旨を伝えれば、意外なほどあっさりといろんなことを教えてくれるものです。業績好調なら自信満々でどこが素晴らしいかを解説してくれるでしょうし、うまくいっていない場合は日頃のうっぷんを晴らすかのように、本部やスーパーバイザーへの不平不満をしゃべってくれます。これは私の取材経験から申し上げていることで、結構使えるノウハウだと思っています。

高嶋健夫著 『しくじる会社の法則』(日本経済新聞出版社、2017年)第4章「『本社の新築は危ない!』が鉄板法則なわけ」から
高嶋 健夫(たかしま たけお)
ジャーナリスト。

1956年生まれ。79年早稲田大学卒業後、日本経済新聞社に入社。編集局産業部、日経ベンチャー編集部、日経文庫編集長を経てフリーに。中小・ベンチャー企業経営者、商品開発・マーケティング、バリアフリー、ユニバーサルデザイン関連の記事、著作を多数執筆。主な著書に『障害者が輝く組織』、『R60マーケティング』(共著)、『「非常識」を「常識」にして成功する経営』(構成)などがある。

キーワード:経営、企画、経理、経営層、管理職、人事、働き方改革、人材

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